村上世彰が「金融教育」に取り組む狙い村上世彰のN高特別授業【前編】(2/4 ページ)

» 2019年10月22日 08時05分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

変革や改革をしない会社は株価が低い

――分散投資と集中投資の2つの投資手法があると思います。今回20万円ということですが、どっちの手法がいいでしょうか。

 あなたはどう思う?

――集中投資のほうがいいと思いました。

 何でそう思った?

――分散投資は安定して増やしていくようなものだと思っていて、その時に20万円という少額であれば、集中投資をして一気に生かせるのを待ったほうがいいのかなと思いました。

 僕もそう思います。なぜならば、今回は20万円という損をしても大丈夫なセーフティネットがあるから、負けてもいいんですよ。いつも言っていますが、投資において僕が一番大事にしている基準は、「期待値」です。

 今回のケースを「期待値」で考えると、一点集中のほうが期待値は高いに決まっている。ばらしてやると、負けも少ないけれども勝ちも少ない。通常、人間ってどうしてもリスクを分散したがるものですが、今回の場合は皆さんに金銭的なリスクがない。痛手なくリスクを取れる状態なので、期待値が高い方法を選んでもいいと思います。一般的には、どういう視点で投資をするかと考えると、目的や状況に応じて、分散投資のほうがいいこともあるし集中投資のほうがいいこともあります。

――村上さんが得意な分野というのはどういう分野ですか。

 どんな分野でもいいけれど、本来会社が持っている価値はすごく高いのに、その価値が株価にきちんと反映されていない会社に投資をします。バリュー投資です。そして経営陣にもいろいろな提案をし、会社の価値を上げていく方法を考えるのが、僕の基本的な投資です。

――会社の価値が株価に反映されていない会社の共通点は何でしょうか。

 古い体質であることが多いですね。なんとなく「昔からこうだから」と変革や改革をすることなくそのまま経営している会社。そういう会社は「何のために上場しているのか」ということを考えていなかったり、「上場している企業のあるべき姿」になれていなかったりするような会社で、株価が低い。

 それから、財務的にいうと、必要以上にお金を手元に貯(た)めこんでいて、再投資や株主への還元ができていない会社、要するにお金の流れを止めてしまっている会社は、やっぱり株価が低いです。

――ファンダメンタル分析とテクニカル分析、どっちがいいでしょうか。

 僕はファンダメンタルを必ず見ています。ファンダメンタルって分かる人いるかな。例えばその会社がどれぐらい収益をあげているのか、資産はどうだ、将来の見通しはどうだ、ということをいろんな開示情報から取ってくるんですね。もしくは自己資本がどれぐらいあって利益はどれぐらいか、借金はどれぐらいあるんだという情報があるんですけど、それを僕は必ず見ます。それらを見た上で、どこに自分が付加価値をつけられるかを考えて投資をしています。ただ今回は、あんまりそこはみんなには当てはまらないね。

phot

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.