アップルの“告げ口”でサムスンに危機? 貿易戦争を揺るがす一声世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2019年10月17日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

クックCEOが水面下で築いた「良好関係」と「経済効果」

 トランプ当選後、クックはすぐにトランプにお祝いの電話を入れたといわれている。その後も、クックはアップルに絡んで何かことがあるとトランプに電話をかけて話をしているというし、パリ協定の離脱の際もトランプに電話を入れて説得を試みている。

 ビジネス系の会議などでは顔を合わせており、また冒頭の夕食会だけでなく、18年の夏にも、ニュージャージー州のトランプが所有するゴルフ場で食事を共にし、トランプは「アップルのティム・クックと食事を楽しんだ。彼は米国にかなりの額を投資している」とツイートしている。

 また娘の大統領補佐官であるイバンカや夫のジャレッド・クシュナー、ファーストレディのメラニア夫人とも実は良い関係を維持している。教育関連の問題でもクックはホワイトハウスに働きかけをしている。特にイバンカとは関係がよく、18年には一緒にアイダホ州の学校を訪問している。

 そんな関係性は、19年3月にトランプが労働系の会議で、クックの名前を「ティム・クック」ではなく「ティム・アップル」と間違って呼んだ後の、皆の反応からも分かる。イバンカはすぐにそのニュースをリツイートし、「爆笑」の絵文字をアップ。クック自身も、自分のTwitterアカウントの名前を「ティム」と「アップルマーク」に変えて反応した。当のトランプはわざと名前を省略したと言い訳をして、失笑を買った。

 とにかく、そうした背景から今ではトランプはクックのことを「友人」「尊敬している」と大っぴらに呼んでいる。「他とは違い、ティム・クックは大金をはたいてコンサルタントを雇うのではなく、ドナルド・トランプに直接電話をしてくる」と絶賛もしている。もっとも、トランプ側から見ても、打算が働いているのは間違いない。

アップルが米国にもたらす経済効果は大きい(写真提供:ゲッティイメージズ)

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