金融庁のいわゆる「老後資産2000万円」報告書がきっかけとなり、日本でも資産運用への関心が高まっている。一方、資産運用を始めようとしても、「投資は危険」「金融機関にだまされる」などといったネガティブな印象を抱いている人が多いのもまた現実だ。
そこで、自身も株式会社マネネの代表として金融教育に携わり、父・森永卓郎氏との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)が話題となっている森永康平氏が、KDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行・じぶん銀行の臼井朋貴社長にインタビューし、同行が金融機関として個人の資産運用をどのようにサポートしようとしているのか、そのビジョンを聞いた。
――金融庁の「老後資産2000万円」報告書がネット上で炎上し、社会問題にもなりました。日本人のお金に対する知識や教養が不足していることの一つの表れかと思いますが、臼井社長はどのようにお考えでしょうか?
お金の話になると日本は全くダメですね。英語もそうだし、ITもそうだと思うのですが、幼少期から教育を受ける場所がない。大人になっても、興味を持った人だけが自分でお金の勉強をしている。そして、社会人になって初めて全員がお金のことに直面する。
私は金融機関で働いているのでお金や資産運用は身近ですが、他業種で働いている人にはそれほど関係がない。それでも、昔はよかったんです。定期預金に預けておけば金利は7〜8%つき、経済成長もしていたし、土地の値段も数年で倍になった。一方、今の日本はそのような状況ではありません。
日本は金融商品に対する考え方が独特で、元本保証が普通になっているんです。投資信託もバランス型の商品を長期で持っていれば、ジワジワと上昇するかもしれないのに、目先の損益で大騒ぎしている。それは金融教育を受けていないからなんです。
――私も金融教育の普及を目指し、昨年から起業したのですが、最近思うことは座学もいいのですが、少額でもいいので実際にやってみることから始めるのもいいかと思っています。
小学生が本当のお金を動かすのは大変ですから、ポイントを利用して投資をしてみるのもいいと思いますね。例えばauではau WALLETでポイント投資のサービスを提供しています。投資したau WALLETポイントはauの投資信託の基準価額に連動します。足元でもトランプ大統領の発言で相場が乱高下するなどありますけど、投資の原資がポイントだからそれほど痛く感じない。このような体験を通じて、自分で自分のお金を増やす、ということを学べるといいのではないかと思います。
日本は金融教育については国の制度が足りていない。私は銀行員になったので、社会人になってから学んでいけましたが、普通はその機会すらありません。小学生のころから少しずつ経験していって、年齢が上がるごとに実際の運用を覚えていくのがいいのです。将来、何が起こるかは誰にも分からないですが、将来のために練習をしていけば自分で自分のお金を増やせます。これが40代、50代から始めます、となると残り時間も少なくなるわけですが。
話を戻して、例の2000万円問題ですが、老後に不足する金額が2000万円になるかは、人それぞれですが、これからの時代は、寿命が長くなっているので引退後の年数が、職業人生の長さに近くなります。いつ死ぬかは分からないので、不安がつきまとう。2000万円じゃ足りない可能性もある。
じぶん銀行ではないですが、auとしてはiDeCo(個人型確定拠出年金)もサービスとして提供し始めました。確定拠出年金だから、自分ができる範囲でやっていけます。運用先として投資信託も選ぶことができれば、定期預金も選べます。ここでも投資の体験ができます。毎月1万円の掛け金だと、仮に相場が急落しても、長期で見ればそこまで大きなショックもない。auのユーザーだとポイントがつくので、au WALLETポイントがフックになる構造となっています。
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