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じぶん銀行社長に聞く「老後2000万円問題」――顧客第一主義を貫き資産運用を“再発明”する将来的にはパーソナライズした商品を実現(3/4 ページ)

» 2019年10月17日 05時00分 公開
[森永康平ITmedia]

パーソナライズした提案をしていく

――家計が保有する金融資産でいうと、日本は欧米に比べて圧倒的に現預金が多いですね。それを考えると、日本人にとっては証券会社よりも銀行の方が資産運用のハブになり得るのかもしれません。じぶん銀行ではカブドットコム証券との連携や、銀行内でもWealthNaviのロボアドバイザーサービス、AIを用いたFX情報の提供もしていて、ただお金を預ける先としての銀行ではなく、ワンストップで資産運用ができるような仕組みが多いですね。

 そうですね。じぶん銀行は三菱UFJ銀行とKDDIの共同出資で設立されましたが、私たちは法人融資をしていないので、三菱UFJ銀行とはカニバっていないと思っています。また、銀行としても規模が違いすぎるので、どちらかというとKDDIとの関係をどう生かせるかを考えています。メガバンクや勢いのあるネットバンクと同じことをしていても勝てるわけがない。だから、どれだけ独特なコンテンツを提供できるのかが勝負です。

 AIが予測した為替相場変動の結果を分かりやすいイラストを用いて一覧表示する「AI外貨予測」や、積立のタイミングをAIが判断する「AI外貨積立」は銀行としては独特なサービスだと思います。現状、勝率は70%くらいです。割と好評で、他の金融機関さんからも引き合いがありました。

――最近、かんぽ生命の不正販売の件もあり、これから資産運用をする人は、金融機関とどのように付き合えばいいのかを気にしていると思います。その点はどう考えますか?

 とても難しい質問ですね。金融という観点ではほとんどの日本人が素人なんです。この投資信託がどうだ、保険がどうだと言われても深く理解するのは難しい。仮に説明を聞いて、なんとなく理解したつもりで商品を買っても、その商品の値動きの裏側には経済や金利、地政学リスクなどさまざまな要因があります。その全ての要因を素人が理解するのは無理なので、ポートフォリオを組むなどして、リスクを低減する必要があります。

 しかし、それを自分だけでやりなさいというのは難しいですから、個人の資産のパートナーになれるようなサービスを提供していきたいと思っています。au WALLETアプリは今の段階ではお金の管理をするだけですが、最終的には複数口座を一括管理できる「アカウントアグリゲーション」をさせて、銀行や証券、保険など複数の口座情報を集約して一元的に表示させるPFM(個人財務管理、Personal Financial Management)の機能も持たせようと思っています。マネーフォワードさんやマネーツリーが既にやっているサービスですね。

 また、親会社のKDDIはビッグデータの解析が得意なので、PFMのデータを基にパーソナルな提案をできるようになっていくと思います。これから社会人になる人や、40代に差し掛かり、これからお金が必要な人など、さまざまな経済環境の人たちにパーソナライズされた商品提案をしていくつもりです。もちろん投資は自己責任が原則ですが、スマホで最適な提案をしていければいいなと思います。

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