その推察を裏付ける実例として取り上げられたのが、原発事故から避難してきた子に「賠償金をもらっているだろう」と言ういじめが繰り返されていた問題です。
2011年8月、ある男子生徒と家族は福島県から横浜市に自主避難しました。転校先で男子生徒は、名前に「菌」を付けて呼ばれるなど、複数の児童からいじめを受け始めます。
当時小学5年生だった男子生徒は、「ばいきんあつかいされて、ほうしゃのうだとおもっていつもつらかった。福島の人はいじめられるとおもった。なにもていこうできなかった」として、加害児童ら10人ほどと遊園地やゲームセンターなどに行くようになります。そこでの遊興費や食事代、交通費も含めて1回5万〜10万円の費用を10回近く負担。一緒に遊ぶためのエアガンを買わされることもあり、男子生徒は親の現金を持ち出していました。弁護士によると、総額は150万円にも上っていたそうです。
「お金もってこいと言われたとき すごいいらいらとくやしさがあったけど ていこうするとまたいじめがはじまるとおもって なにもできずに ただこわくてしょうがなかった」「いままでいろんなはなしをしてきたけど (学校は)しんようしてくれなかった」「なんかいもせんせいに言(お)うとするとむしされてた」「いままでなんかいも死のうとおもった。でもしんさいでいっぱい死んだから つらいけどぼくはいきるときめた」(男子生徒の手記より)
男子生徒の悲鳴はなぜ、大人に届かなかったのか? 周りの子どもたちはなぜ、精神的暴力を繰り返したのか?
いつの時代も、子ども世界は大人社会の縮図だし、子どもは大人が考える以上に、オトナたちの言動を観察し、まねる。母親が「先生の悪口」ばかり言う家庭の子どもは、先生をばかにする。母親が「○○さんの奥さんって、△△なのよ〜」と愚痴り、それを聞いていた父親が「○○さんのところは、××だからな」とばかにするやりとりを見ていた子どもは、両親と同じように○○君をばかにする。
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