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「持続可能なゲームメディア」の未来像とは 電ファミニコゲーマー・平編集長を直撃ドワンゴから独立(3/4 ページ)

» 2019年10月25日 05時00分 公開
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IPを作るところに力を使っていきたい

――広告ではなく企画の方に軸足を移した方がビジネスとしての可能性があるということですね。

 例えば、“ショーケース”としてのインタビュー記事がまずあります。その上で「僕らが貴社のオウンドメディアというような形で(記事発信を)やりますよ」とか、ゲーム業界の見識を買われて「(クライアント企業への)コンサルタントやプロジェクトをやりますよ」といったイメージです。

 純粋なメディアの仕事だけというより、IP(キャラクターやストーリーといった知的財産)などを作っていくところにも自分たちの力を使っていきたいのです。メディアや編集者であることを生かした仕事ですね。それは企画のプロデュースかもしれない。他にも海外のゲーム企業が日本にアプローチする際の案内人役や、その逆で海外に(日本のゲーム会社が)アプローチする際の手助けもできるかもしれない。

――ちなみに、有料記事という選択肢は無かったのでしょうか?

平: 今は「投げ銭」のようなこともやっていますが……。ネット記事にいちいちお金を払ってもらえるかというと、そのハードルを(読者に)越えさせるのは難しい。

 例えば、月額課金はビジネス系のサイトなど「お金の出しやすい」ジャンルなら成立すると思いますが、他ジャンルではしにくい。特にゲーム業界では懐疑的ですね。また、クローズド(会員限定)の記事にした際、取材を受けてくれた人へのデメリットになってしまうのも何か違うと感じます。うちで取材を受けてくれる人には、(自分の情報を)広く発信したいと考えているクリエイターが多い。その発信力が失われてしまうと、それはそれで(メディアとしての意義が)根本から揺らぐ話だと思うのです。

 「メディアとして広告を請け負いたくない」というわけではありませんが、理想はメディア事業(=広告など)収入が2〜3割で、残りは企画系のビジネスや「サロン」でやりたい。バランスが取れればいいな、と。

――サロンとは、平さんが、漫画界の重鎮である『週刊少年ジャンプ』元編集長(白泉社現会長)の鳥嶋和彦さんらの支援を受けて取り組んでいる電ファミのコミュニティー「世界征服大作戦」ですね。オンラインサロンは専門メディアが生き残る1つの方策ともよく言われます。

平: 鳥嶋さんたちとお付き合いする中で、業界をまたいだ取り組みをしたいなと3年くらい前から話をしていました。電ファミの独立にあたり、サロンのような形をやってみようと思ったのです。

phot 『週刊少年ジャンプ』元編集長の鳥嶋和彦さん(撮影:山本宏樹)
phot 電ファミニコゲーマーはマンガ・アニメ・ゲーム専門のオンラインサロン「世界征服大作戦」を立ち上げた。白泉社の鳥嶋会長は”押しかけアドバイザー(相談役)”を務めている

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