コラム
» 2019年11月05日 08時00分 公開

組織の生産性を上げる「楽しさ」の作り方:人が辞めていく“ブラックな職場”をどう変える? サイボウズの実例に見る「制度の選択肢を増やすこと」の効用 (1/2)

かつて4人に1人が辞めていく会社だったサイボウズは、その高い離職率をどう改善したのか。

[なかむらアサミ,ITmedia]

 こんにちは! サイボウズチームワーク総研のなかむらアサミです。サイボウズで人事や広報・ブランディングを経験し、現在は、サイボウズのノウハウを他社の組織開発に生かすチームワーク総研という事業部でシニアコンサルタントをしています。

 前回は営業組織における「楽しさ」のつくり方について具体的に紹介しました。今回は、サイボウズの実例を交えながら、「どうすれば組織に『楽しさ』が生まれるか」を紹介してみたいと思います。ぜひ参考にしてください。

 サイボウズが、4人に1人が辞める割合で離職率が高い会社だったことは、以前のコラムでもお伝えした通りです。

 80人のうち4人に1人が辞めるというのは、毎週のように送別会が開かれていたような状態ですから、あまり「楽しさ」があるような状態ではなさそうですよね。実際その場にいた身としては、楽しさがゼロではないのですが、どちらかといえば、どの社員も「目の前のことにいっぱいいっぱい」だったという表現が的確かもしれません。

 人事としては、当然ながら「危機感」がありました。当時のサイボウズはまだ創業して8年ほどのベンチャー会社、かつB to Bということもあり、新卒の人気はない、中途で採用しても辞めていく、当時はITバブル期でもありましたので派遣社員の採用ですら困難、という4重苦が、入社したての私が実感した現実でした。私のほうが「想定外だった」と辞めたくなるような状況です(笑)。

2005年に離職率が28%に達したサイボウズ。いわゆる“ブラック”な職場環境だったが……

制度を作るだけでは補えないこと

 そういう状態でしたので、せめて「現在いる社員が長く働ける会社にしよう」と手を打ち始めました。創業して8年ほどのベンチャー会社だったこともあり、ほとんどの制度が外から借りてきたような、いわば自分たちの意思が入っていないありふれたもの。ここに着手して、「6年間取得できる育児介護休暇」を皮切りに、さまざまな制度づくりを始めていきました。

 制度づくりと並行して行ったのが「社員が仲良くなる場づくり」でした。4人に1人が辞める会社の社員同士が「仲が良い」わけがありません。大声で社内でけんかをしているといった、分かりやすい状況は(大人なので)なかったのですが、部署間調整がうまくいかず、仕事が宙に浮いたり、過去にカンパニー制をとって社内競争をしていた背景などもあり、「円満」とはいえない状況でした。

 社員が仲良くなる場づくりの具体的な例を下記に挙げます。

横のつながりを支援する場づくり

 まずは、「部署を越えて5人以上集まること」を条件とした部活動の奨励。誕生月の人たちで集まってランチやディナーに行くことの奨励。当時も誕生月の人には全社会議で花束とワインを贈ることもしていましたが、「部を越えた集まり」になることを期待して現在のように変えました。

 そして、部内でのキックオフや歓送迎会、「仕事Bar」(ちょっと真面目な仕事の話を、飲食をしながら緩い雰囲気で行う会議のこと)などを奨励する形で、次々と「部署を越えた集まり」を促していきました。

 それまで部活動もゼロではなかったのですが、「部費が出る」ということで、その活動に勢いが出るようになりました。野球部がユニフォームを作製したのを皮切りに、「本当に部費を使っていいんだ」と皆が部費利用に前向きになり、次々に部費申請、新規部活動申請が上がってきました。今思えば、まさに現金な感じですが(笑)、活動の促進に費用補助は大きな役割を果たしたと思っています。

 「費用負担を会社が行いました」と話すと「業績に影響はないのですか」と質問されるのですが、最大で利用しても一人あたり数万円程度、かつ全員が利用するわけでもないので、業績に影響するほどの費用にはなりません。むしろ私たちが行いたかったのは「部署を越えて社員が仲良くなること、交流を深めること」なので、費用負担は手段です。会社負担も入れて奨励することで、仕組みの目的が伝わりやすくなり、社員の心を動かせたと思っています。

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