地域経済の活性化を目指して、各地域固有の強みを生かす取り組みが進んでいる。しかし、企業や個人の努力だけが成否を分ける要因ではない。人口減少が進む中で、制度化や連携は欠かせない。地域活性化の成否を左右するキーワードに迫る。
本来、内閣府や総務省が推進すべき「地域活性化」に、財務省が力を入れている。2019年に入ってから地方出先機関の職員を積極的に投入し、各地域でのベンチャー発掘や支援など、地域活性化の本丸ともいえる分野にてこ入れを始めた。一体どうしたのか。
財務省の取り組みは、国有地の有効活用など既存の施策に加え、地方発のスタートアップ企業の支援に力を入れている点が珍しい。背景にはさまざまな思惑があるが、地域を支える企業が育てば税収増につながり、政府の財政健全化にも寄与するのでは、という皮算用もある。
一方、都市部に労働力を集め、日本の高度経済成長を実現する過程で地方は著しく衰退した。各省庁が長年多額の資金と人材、労力を投入して問題解決に取り組んできたが、めぼしい結果を残せていない。財務省の挑戦が成果を挙げられるのか、関係者から静かな注目を浴びている。
「人口減少は日本全体で問題だが、特に地方でどんどん進んでいる。各地域が元気になってもらわないと、この国全体の力も出てまいりません」
今年1月下旬、経団連内で急きょ開かれたシンポジウム。財界人からベンチャー起業家、官公庁幹部まで約400人が集う中、冒頭であいさつした財務省の事務方トップ、岡本薫明事務次官はこう訴えた。
さらに「地方創生を進めているが、国で政策を打っても、どういう政策があるのか、地域の皆さまに伝わっていないという声も耳にする」と述べた。人口減少が進む中、有効と思われる施策を立案しても、地方自治体や地域住民に情報が行き渡らず、活用されていないとする認識を示した。
その上で「財務局は全ての地域の金融機関の状況を把握している。各地の経済を把握する上で非常に大きな力になっている」と強調。地域金融に影響力がある地方財務局を動かせば、自治体や住民にも情報が伝わり、地域活性化の大きな力になることを説明した。
会合は、財務省が取り組み始めた地域活性化プロジェクトのお披露目の場として用意された。国土交通省や経済産業省の幹部や財界関係者のほか、社会起業家として活躍する俳優の伊勢谷友介さんらも駆け付け、終始にぎわった。
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