ゲームをスポーツ競技として捉える「eスポーツ」。近年では3月に「全国高校eスポーツ選手権」が開催されるなど、隆盛を見せている。しかし、「eスポーツ」という言葉が知名度を高める一方で、実際に観戦したことのある人は、まだまだ少ないのが現状だ。
eスポーツの本場・米国では、2018年のeスポーツの観戦者数は6300万人に達し、プロバスケットボールのNBAと同じ規模にまで成長している。また、賞金総額も30億円を超える大会が開かれており、これはゴルフのメジャー大会よりも大きい金額だ。
一方、国内でも全世界で5000万人以上が遊ぶeスポーツタイトルがある。ミクシィのブランド「XFLAG」が開発・運営する「モンスターストライク」(以下「モンスト」)だ。
「モンスト」は、味方のモンスターをピンボールのように引っ張り、敵に当てて倒すゲームで、最大4人まで協力して遊ぶことができる。今年7月に「モンスト」のアジアNo.1を決めるeスポーツ大会「モンストグランプリ2019 アジアチャンピオンシップ」決勝大会が開かれ、国内では初の賞金総額1億円の大会となり、1.5万人以上が現地で観戦し、YouTube Liveでの最大同時接続者は14万人以上にも上った。
eスポーツの大会を盛り上げるためには何が欠かせないのか。そして今後、日本のeスポーツがより盛り上がりを見せていくためにはどうすべきなのか。大会の運営責任者であるミクシィの田村征也執行役員にその戦略やビジョンを聞いた。
――今回の大会である「モンストグランプリ」から、台湾と香港という海外でも予選大会が開かれました。世界と比べて日本のeスポーツの現状というのは、どのように位置付けられると見ていますか。
盛り上がるポイントなど、お客さんの反応を見ていると、日本よりも海外の方のほうがまだ慣れている感じはありますね。日本では徐々に盛り上がり自体は大きくなってきているとは思う一方、まだお客さんが「どう楽しめばいいものなのかが分かりにくい」という部分があると思います。
われわれの努力としては、ただ自分たちがゲームを遊ぶという楽しみ方だけではなくて、観戦する楽しみ方や応援する楽しみ方もあるんだよ、という部分を訴えていきたいと考えております。インターネットで配信している番組作りにおいても、大会作りの部分から観戦や応援にフォーカスするように気を遣っています。配信を見ていても楽しい、会場に行けばもっと楽しい、というところを目指しています。
――観戦を楽しめるような番組作りのために、どのようなところを工夫していますか。
番組作りでいうと、まずどういう選手が出場していて、どういう経緯で勝ち上がってきているか、どんな背景で闘っているのかということをドキュメンタリー風にして、視聴者に伝えるようにしています。あとは全国高校サッカー選手権のように、地方から上がってきた選手の中で、誰に注目すべきかといった企画も番組作りとしてやっています。
また、実際に競技の様子を見ても「何が起きているのか分からない」という人も少なくありませんので、そういう初心者の方が見ても分かるような番組作りも心掛けています。今の試合はどっちがどういう攻め方で、こういうところがうまくて勝ったんだ、という部分をしっかり伝えるようにしています。
――なるほど。では番組ではなく会場を盛り上げるためには、どんな趣向を凝らしていますか。
会場では、来場者の方にスティックバルーンなどの「盛り上がりグッズ」を提供させてもらい、どういうポイントでスティックバルーンをたたいたり鳴らしたりすればいいかという説明を加えるようにしています。空間として一体感が出るような演出を心掛けていて、そこには非常に気を遣っていますね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング