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賞金総額1億円! 14万人超が決勝を“観戦”した「モンストグランプリ」運営責任者が明かす「eスポーツの隆盛」に欠かせないものミクシィ「モンスト」のキーマンを直撃【前編】(2/4 ページ)

» 2019年11月07日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]

「どこがスポーツなのだ」 批判と偏見

――eスポーツは少しずつ社会的な地位が得られてきている一方、「身体を動かすわけではないのにどこがスポーツなのだ」といった偏見もまだまだ根強いと思います。これについては、どう考えますか。

 元をたどっていけば、ゲームというもの自体への偏見もまだ存在するのだと思います。あとは、「スポーツ」というと「身体を動かすもの」という認識もまだ強く、ゲームと体を動かすというのはあまりリンクしないという認識もあるのだと思います。

 しかし、実際に「モンスト」の例を見ていても、毎回同じ角度で素早く同じ位置にモンスターを弾くというのは、相当な練習をしないとできないものです。他のスポーツでも毎日、基礎練習をやると思いますが、実はやっていることは全く一緒なんですね。試合中、ここで失敗したら負けるかもしれないといった緊張感も同様に感じるものです。試合中の戦略や戦術、求められる反射神経という部分でもほかのスポーツと同様で、非常に似ているものだと捉えています。

phot 「モンストグランプリ2019 アジアチャンピオンシップ」の様子

――やはり「モンスト」をはじめとしたeスポーツも、他の一般的なスポーツと何ら変わりがないということですね。

 われわれとしては、eスポーツもれっきとしたスポーツだと思っているんですが、やはり先ほどの「身体を動かすもの」という前提の部分のイメージが強いのも事実です。やはり一番は、一度会場に来て見ていただくと、その辺りのイメージが変わるだろうと思っています。ですので、私たちとしては、現在の来場者の方々が周りの方々を誘って来やすい環境を作ることによって、どんどんeスポーツ自体を広げて発展させていきたいという思いがあります。

――どうすればより多くの人にeスポーツの試合会場に足を運ばせることができるでしょうか。

 やはりeスポーツというのはゲームがめちゃくちゃ強い人たちだけが楽しむものではなく、むしろもっとライトな方々でも楽しめるものなんだぞ、という設計をしっかりして、訴えていかなければなりません。入り口を難しくしないことが大事です。

 特にオンラインゲームで起こりがちなのですが、うまい方々が弱い方々を排除するようになってしまうと、(入り口は)狭まっていってしまいます。これはスポーツでも全く同じことがいえると思いますが、例えば休日にフットサルを知らない人たちと混じってやるときに、上手なカテゴリーと下手なカテゴリーで分かれていることが多いです。部活にしても、勝ちたいサッカーの部活なのか、楽しみたいサッカーの部活なのかで全くやり方が変わってくると思います。このように、同じスポーツでも楽しみ方には違いがあるんですよね。

――とはいえ、やはりプロの勝負となると、優勝賞金をかけて真っ向勝負ということになるかと思います。

 もちろん「モンストグランプリ」の場合は勝ちたい大会になるので、これだけだと狭まっていってしまいます。もちろん選手の方々にはガチンコで戦っていただいて極めていただければと思います。その戦いの様子を僕らがあまり詳しくない方でもしっかり分かってもらえるように伝えていくことで、競技自体の面白さを来場者や視聴者に気付いてもらえるようにしたいと考えています。

 そうすることで、僕らのやっていることが認知されて、多くの方々を巻き込めるような状況を作れると思っています。常にライトなお客さんを意識した大会設計や番組作り、そしてそれを伝える努力をするように心掛けています。

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