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» 2019年11月14日 08時00分 公開

連載「パラリンピックで日本が変わる」:鈴木大地スポーツ庁長官を直撃――東京五輪後も障害者スポーツの火を絶やさぬために (1/3)

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が近づいてきた一方、パラスポーツに関しては組織力、経営力、競技の環境などで課題も多い。スポーツ庁の鈴木長官にインタビューし、東京2020成功のために必要なものや大会後のビジョンについて聞いた。

[田中圭太郎,ITmedia]

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催が近づいてきた。オリンピックは2020年7月24日、パラリンピックは8月25日に開幕する。スポーツ庁の鈴木大地長官は9月10日、東京2020大会を契機に競技力の強化と、スポーツ団体の経営力強化のために、プロフェッショナル人材を公募することを記者会見で明らかにした。

 最初の公募は9月10日から10月7日まで行なわれた。競技力の強化では、京都、埼玉、長野、宮崎、和歌山にあるスポーツの強化拠点で「機能強化ディレクター」として働く人材を募集。また経営力の強化では、全日本空手道連盟、日本テニス協会、日本ホッケー協会、日本陸上競技連盟の4競技団体の経営力を強化するため、ビジネスプロフェッショナルの人材を募集した。

 プロフェッショナル人材は、副業もしくは兼業で参画できる人が対象で、週1回程度の勤務を想定。1100人の応募が集まった。

 また、11月13日から12月10日まで2回目の公募も始めている。今回は地方のスポーツクラブなど8団体を対象に、経営力強化事業戦略を担うプロフェッショナル人材をやはり副業もしくは兼業で募集する。

 スポーツ庁は、スポーツの参画人口を拡大して、スポーツ市場の規模を現在の5.5兆円から、20年までに10兆円、25年までに15兆円に拡大することを目指している。今回の公募は、その取り組みの一環でもある。鈴木長官は9月の会見で、期待を次のように語った。 

 「20年以降を見通した競技力を図るためには、フルタイムによる競技の専門人材の配置のみならず、コーディネート、マネジメント、マーケティングなどに関して、多方面で活躍する優秀な人材を副業・兼業で積極的に受け入れていく必要があります。知恵やアイディアを提供いただき、既存のリソースを最大限活用するなどして、総合的に競技力強化を図る仕組みを構築することが重要だと考えています」

 一方で、課題が残るのがパラスポーツに関する取り組みだ。オリンピックの競技に比べて組織力、経営力、競技の環境など、全ての面においてまだまだ課題が多い。鈴木長官にインタビューし、東京2020成功のために必要なものや大会後のビジョンについて聞いた。

phot 鈴木大地(すずき・だいち) 競泳選手として1984年ロサンゼルス、88年ソウル五輪に出場。ソウル五輪では男子100メートル背泳ぎで、日本競泳界に16年ぶりの金メダルをもたらす。順天堂大学大学院修了後、米コロラド大学ボルダー校客員研究員、ハーバード大学のゲストコーチなどで留学。2007年には順天堂大学で医学博士号取得。13年同大学教授。日本水泳連盟会長、日本オリンピック委員会理事に就任。15年10月より現職。また16年10月にはアジア水泳連盟副会長、17年7月には国際水泳連盟理事にそれぞれ選任(撮影:山本宏樹)

鈴木長官が語る、東京2020の成功とは

 スポーツ庁が創設されたのは15年。スポーツ基本法が制定されたことと、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催が決定したことが、大きな背景となっている。競技力の強化と競技団体の経営力の強化を目指して、新たな取り組みを始めたことに関連して、鈴木長官に東京2020の「成功」をどのように定義しているのか、そして成功させるために何を考えているのかを聞いた。

――スポーツ庁長官として、東京2020オリンピック・パラリンピックの成功を、どのように考えていますか。

鈴木長官: 大会の成功に関しては、2つの側面があると思っています。1つは競技の成績ですね。日本オリンピック委員会(JOC)と日本パラリンピック委員会(JPC)が、それぞれ目標とするメダルの数を考えています。その達成に向けて後方支援をして、サポートしていくことで、競技成績面での成功を果たしたいと思っています。

 もう1つは、運営面での成功です。運営はわれわれが全てやっているわけではありませんが、20年を成功に導き、今後も大きな国際大会や、障がい者の大会が滞りなくできるようにしていきたい。同時に、支えているみなさんもその成功を享受して、再現性がある雰囲気を醸成して、次の時代に託すことができるようにしたい。この2つを達成して、20年の大会は成功といえるのではないかと思っています。

――オリンピックもパラリンピックも大会まで1年を切りました。盛り上がりをどのように感じていますか。

鈴木長官: だいぶ盛り上がってきていると思います。ラグビーのワールドカップが開催され、11月30日からは女子ハンドボール世界選手権も開催されます。大きな世界大会を通じて、来年のオリンピック・パラリンピックに向けて、間違いなく盛り上がってくると考えています。

 ただ、オリンピックに関しては間違いなく盛り上がると思いますが、後押しが必要なのはパラリンピックですね。オリンピックが盛り上がったところで、その流れでパラリンピックをさらに盛り上げて成功させることが大切だと考えています。

phot プロフェッショナル人材公募の記者発表時に撮影
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