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» 2019年11月14日 08時00分 公開

連載「パラリンピックで日本が変わる」:鈴木大地スポーツ庁長官を直撃――東京五輪後も障害者スポーツの火を絶やさぬために (2/3)

[田中圭太郎,ITmedia]

パラスポーツの現状と将来のビジョン

 次に、鈴木長官が「後押しが必要」と語ったパラスポーツについて、今後のビジョンを聞いた。スポーツ庁ではプロフェッショナル人材の募集という新たな取り組みを始め、さらに多くの団体に広げていくことにしている。ただ、今回の公募にはパラスポーツの強化拠点も入ってはいるが、全体的に見ると、どうしてもオリンピックの競技に比べて競技団体の体制や競技の環境は十分とはいえない。こうした課題について鈴木長官は率直な思いを語った。

――東京2020大会後のパラスポーツのビジョンを、長官はどのように思い描いていますか。

鈴木長官: 課題は非常に多いと思っています。特に21年以降に環境が劇的に変化しないようにしたいと考えています。

 選手やスタッフ、監督、コーチ、現場のみなさんに大きな環境変化がありすぎないように、またこれまで通り必要なトレーニングができるように、環境を整えていかなくてはいけません。そのために現在、障がい者スポーツの皆さんと話し合いを進めているところです。

――今回のプロフェッショナル人材の公募は、東京2020の大会後を見据えてのことだと思います。しかし、パラリンピックに関しては、13年度までは厚生労働省が管轄していたこともあり、競技団体の体制には課題も多々あると思われます。オリンピックとパラリンピックでは、競技団体の組織力や経営力について、現状どのような違いがあると考えていますか。

鈴木長官: そもそもパラリンピックの競技団体は脆弱な団体が多いです。熱心に取り組んでいる方の住宅が、競技団体の事務所になっているところもあるくらいです。それでもここにきて、パラスポーツに関してもサポートする企業や団体も多くなっています。21年以降に向けては、各競技団体にも自活できるように準備してもらいたいと思っています。スポーツ庁としても支援する考えです。

――競技団体への支援について、具体的にはどのような考えを持っていますか。

鈴木長官: 現在、公益財団法人の笹川スポーツ財団に多大なサポートをしていただき、競技単体の横の連携を深める体制を築いていただいています。ただ、各組織にそれぞれ競技者が何万人もいるわけではありません。

 この時期に横の連携を密にすることで、将来的には障がい別に組織同士が融合するなどの連携を図ることも可能になるのではないでしょうか。

 あるいは競技ごとに、サッカーとブラインドサッカー、トライアスロンとパラトライアスロンのように、健常者と障がい者を合わせるような組織運営も考えられます。事務作業を共同化することもできますよね。新たな組織の形が模索できることを期待しています。

phot

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