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» 2019年11月28日 05時00分 公開

堀江貴文が語る「予防医療」【後編】:ホリエモンがHPVワクチンを打った理由――ハヤカワ五味と語る「感染しない、感染させない、感染源にならない」 (1/6)

ホリエモンこと堀江貴文氏と、女性ファッションデザイナーで実業家のウツワ社長ハヤカワ五味氏が対談。見えないニーズを掘り起こし革新的なビジネスモデルを築いてきた異端の起業家2人が今、最も注目しているのが「予防医療」の分野だ。社会課題を解決し、将来的な顧客をどのように育てていく術があるのか、2人の起業家の対談からヒントを得たい。後編では、子宮頸がんワクチンの定期接種が再開されない中で、ビジネスを通して予防と検診を呼びかける具体的な方策を語り合った。

[田中圭太郎,ITmedia]

 9月24日、東京都港区のDMM本社で、一般社団法人予防医療普及協会「予防医療オンラインサロンYOBO-LABO」の会員限定トークイベントが、子宮頸がんの予防と検診をテーマに開催された。

 協会の理事を務めるホリエモンこと堀江貴文氏と、女性ファッションデザイナーで実業家の株式会社ウツワ代表取締役社長、ハヤカワ五味氏が対談。記事の前編(元カノが子宮頸がんになった過去……ホリエモンがハヤカワ五味と語る「予防医療と検診の必要性」)では子宮頸がん検診で中度異形成の診断を受けたハヤカワ氏と、昔付き合っていた彼女が子宮頸がんと診断されたという堀江氏が、予防と検査の必要性を考えた。

phot 予防医療の普及など世間がまだ注目していない領域に可能性を見いだしてきた堀江貴文氏と、生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元的にできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開しているハヤカワ五味氏(右)(以下、撮影:山本宏樹)

 堀江氏はインターネットが普及し始めた黎明(れいめい)期に、いち早くWebサイト制作・管理運営をする会社を興して注目を集め、その後も宇宙事業や予防医療の普及など世間がまだ注目していない領域にビジネスの可能性を見いだしてきた。

 一方のハヤカワ氏は18歳のときに「課題解決型アパレルブランド」を運営する株式会社ウツワを立ち上げ、女子大生経営者として注目されてきた。大学入学後に「胸が小さい人向けのかわいいブラがない」という問題意識から潜在的な需要を察知し、小さい胸を「シンデレラバスト」と呼ぶ、華奢(きゃしゃ)な女性向けのランジェリーブランド「feast」をヒットさせたのだ。またハヤカワ氏は現在、日本の性教育の現状に課題を感じていて、生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元的にできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開している。

 見えないニーズを掘り起こし革新的なビジネスモデルを築いてきた異端の起業家2人が今、最も注目しているのが「予防医療」の分野だ。社会課題を解決し、将来的な顧客をどのように育てていく術があるのか、2人の起業家の対談からヒントを得たい。後編では、子宮頸がんワクチンの定期接種が再開されない中で、ビジネスを通して予防と検診を呼びかける具体的な方策を語り合った。

phot 堀江貴文(ほりえ・たかふみ) 1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consultingファウンダーおよびロケット開発事業を手掛けるインターステラテクノロジズのファウンダー。現在は宇宙関連事業、作家活動のほか、人気アプリのプロデュースなどの活動を幅広く展開。19年5月4日にはインターステラテクノロジズ社のロケット「MOMO3号機」が民間では日本初となる宇宙空間到達に成功した。2015年より予防医療普及のための取り組みを開始し、2016年3月には「予防医療普及協会」の発起人となり、協会理事として活動。予防医療オンラインサロン「YOBO-LABO」にも携わる。著書に『健康の結論』(KADOKAWA)『むだ死にしない技術』(マガジンハウス)『ピロリ菌やばい』(ゴマブックス)など多数
phot ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)1995生まれ。東京出身、多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。課題解決型アパレルブランドを運営する株式会社ウツワ代表取締役社長。 高校1年生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン、販売を受験の傍ら行う。大学入学直後にワンピース等のGOMI HAYAKAWA、2014年8月には妹ブランドにあたるランジェリーブランドfeast、17年10月にはワンピースブランドダブルチャカを立ち上げ、Eコマースを主として販売を続ける。複数回に渡るポップアップショップの後、18年にはラフォーレ原宿に常設直営店LAVISHOPを出店。19年からは生理日のトラッキングと生理用品の購入までを一元でできるサービスilluminateをLINE上のアプリとして展開している

ピロリ菌キャンペーンがうまくいった理由

堀江: 僕が予防医療普及協会で最初に取り組んだのは、ピロリ菌のキャンペーンでした。これはわりと成功して、マスコミにも取り上げられました。やり始めて分かりましたが、日本にはピロリ菌の検査をやらなければならない理由があるんですね。東アジアの人たちが持っているピロリ菌は、欧米の人たちのピロリ菌の7倍から8倍くらい悪性度が高いんですよ。

ハヤカワ: まあまあ面倒くさそうですね。リスクが高いということですか。

堀江: はい。すごくがん化しやすいんですよ。朝鮮半島、日本列島、あと中国東北部やモンゴルにいる人たちが、悪性度が高い変異種のヘリコバクターピロリ菌に持続的に感染しています。

ハヤカワ: それはもう遺伝子的にという感じですか。

堀江: 母子感染しやすいからです。口移しでごはんを食べさせるとか、おじいちゃんやおばあちゃんの唇とかについているピロリ菌をチュッと吸ってしまうと、乳幼児は免疫力が弱いのでピロリ菌に感染します。だから家族性なんですよ。昔はよく、青森県や秋田県に胃がんの患者が多いと言われていました。実際、統計的にも多いです。

ハヤカワ: それは食生活が原因ですか。

堀江: 塩辛い食事をしているからだと思いますか。

ハヤカワ: はい。

堀江: でも胃がんになる確率が一番低いのは沖縄県なんですよ。沖縄県も塩辛い食事をしていますよね。ポーク卵とか。

ハヤカワ: 確かにそんなに変わらない気がしますね。

堀江: だから食生活が理由というのはうそくさいなと思っていました。本当の原因はピロリ菌の種類によるものです。東南アジアのピロリ菌は、そんなに悪性度は高くないです。

ハヤカワ: ああ、なるほど。

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堀江: 沖縄はハイブリッドなんですよ。東南アジアとかポリネシアの人たちのピロリ菌は、悪性度が高くなくて胃がんの罹患率が低いことが分かっています。国際的なヘリコバクター学会では半分冗談めいて、「日本人のお母さんがアメリカにやってきて子どもにうつすから、日本ではやく撲滅してくれよ」と言われています。

ハヤカワ: ピロリ菌は実際検査している人も多くて、予防が広がっていますよね。それに対して、子宮頸がんはまだ難しいなと思っています。ここまでピロリ菌の検査が広まった理由は、反対派がいなかったからとか、もしくはそれ以外の要因があったのでしょうか。

堀江: 抗生物質を使って除菌をすることについての反対はあります。除菌は中学生のときにするのがベターなんですよね。なぜかというとピロリ菌は幼少期に持続感染が成立すると言われていて、この時期に除菌できればピロリ菌のダメージが少なくてすむ。20代や30代の若年者の胃がんを予防するには中学生くらいで除菌するしかない。小学生のときまでは免疫力が弱くて、再感染の可能性があるからです。

ハヤカワ: 胃がん予防には中学生が最も早く除菌ができる時期で、かつ、再感染も少ないということですね。

堀江: ピロリ菌に継続感染していると、胃の粘膜が萎縮して、いつがんになってもおかしくない腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)という状態になります。そこに高塩分食とか、お酒やたばこなど負荷的な要因が重なるとがん化してしまいます。

ハヤカワ: そうなると、少なくとも社会人になる前にやった方がいいですね。

堀江: そうですね。中学生くらいまでにやっておくと、その後も胃がんになりにくい状態が続きます。腸上皮化生だと、年に1度胃カメラを飲んでくださいと言われます。

ハヤカワ: それは結構しんどいですね。

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