韓国人客の激減に振り回される地域は、どうすべきか(1/4 ページ)

» 2019年11月28日 06時48分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。


 日韓関係の悪化により、韓国内では日本製品の不買運動や日本への旅行を自粛することを呼び掛ける反日キャンペーン「ボイコット・ジャパン」が幅広く、かつ根強く実施されている。

 その結果、日本を訪れる韓国人旅行者数が大きく減り、日韓間の就航便が運休する悪循環が生じており、九州各地や札幌など、一部の人気観光スポットは軒並み打撃を受けているとの報道が相次いでいる。

 こうした地域の業者の中には当然ながら、「いい加減、日韓の関係改善を図ってもらいたい」という悲鳴も上がっている。

 しかしながらそれらの業者の声に同情して、日本政府に対し「韓国政府の主張通り、韓国に対する輸出管理措置の厳格化を取り下げてあげて」という国内世論がわき上がっているかというと、寡聞(かぶん)にしてそのような声は聞こえてこない。

 むしろ日本国民の多くは、確かに韓国人観光客の激減で困っている地域に同情はするが、エキセントリックな「恨」感情をぶつけてくる韓国民の「ボイコット・ジャパン」の動きや、自らの不審な行状を顧みないどころか米国を巻き込むためにGSOMIA破棄をちらつかせる(こちらは最近、ギリギリのところで条件付けながらも撤回されたが)韓国政府のやり方に眉をひそめているというのが実際のところだろう。

 仮に韓国の思惑通りに、日本政府がここで腰砕けの妥協を示したとしたら、今度は国内世論の反発が政府・外務省に向かいかねない。日本政府とするとやはり「事態打開の責任は韓国政府にある」と毅然と主張するしかなかろう。

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