こうしたオフィス需要の拡大と共に成長してきたネスレのアンバサダー・マーケティングだが、今回の新機種による「ショップや事務所をカフェにする」市場拡大がうまくいくかは未知数だ。ウォーターサーバーなどを除くと、類似した先行サービスが特に食品・飲料ジャンルであまり見られない点に加え、「家庭外需要」の点で言えば、品質で既に一定の支持を得ているコンビニコーヒーとの競争激化も避けられない。
一般的にアンバサダー・マーケティングというと、時計ブランドが有名人に商品を贈って着用してもらったり、最近では主にInstagramやYouTubeなどで強い発信力を持つインフルエンサーに宣伝させる手法が一般的だ。
一方で、今回の「スモールマス」を狙ったネスレ日本の取り組みはむしろ、「一般人のユーザーを起点にして、新たな商圏にコーヒーを売り込む」という同社が従来手掛けてきたマーケティングの延長にあると言える。これまでも「宅配事業参入」など、食品・飲料メーカーとしてはユニークな施策で試行錯誤を続けてきた同社。定石であるSNS活用より、あくまで「リアルな人のつながる場所」をフックにした今回の新施策は、果たして新市場の創出につながるか。
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