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高橋名人が明かす「裏技」誕生秘話 私が「冒険島」になった理由高橋名人の仕事哲学【中編】(2/6 ページ)

» 2019年11月29日 05時00分 公開
[河嶌太郎ITmedia]
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3カ月分の給料をパソコンに投入

――当時で27万8000円ですか……。購入するには相当な覚悟が必要でしたよね。

 今のパソコンの相場でも「高い」と思われるかもしれませんが、当時私の月の手取りが8万9000円。3カ月強の給料に相当します。さすがに1週間悩みました。結局24回払いで買うことになったのですが(笑)。

――給料3カ月分……。なかなかの勇気がないと買おうとは思わない気がします。

 もしかすると、「スーパーの野菜はもういいかな……。これからはコンピュータだ!」と新しいものを探していたのかもしれません。とはいえ、プログラムのことも全然分かりませんでしたし、もちろんこの時点で「ハドソン」の名前を知っていたわけでもありません。

 いざこうしてパソコンを買ってはみたものの、「MZ-80B」はクリーンコンピュータで、OSからインストールする必要がありました。ただ最初はそんなことも分からず、電源を入れてもうんともすんとも動かない。すぐに付属のカセットテープでOSを読み込ませればいいことに気付くんですけど、テープも2、3本あってどの順番で読み込ませればいいのか分からない。結局そのまま放置され、1週間ぐらいでホコリをかぶり始めるわけです。

――なんと!! そんな状況だったのですね。

 このときによかったのが、支払方法が今みたいな自動引き落としではなく、振込用紙での支払いだった点です。ホコリを被り始めたあたりで振込用紙が送られてきて、「これがあと20回以上あるんだよな」と、はっとさせられたんです。パソコンを抱えてショップに行き、「最初だけ教えてください」と教えてもらいました。その後は自分で「月刊マイコン」などの雑誌に載っているプログラムリストを見ながら勉強していった感じです。

 ちなみに、27万8000円というのは本体とキーボードだけの値段です。私はその後どんどんパソコンにのめり込んでいき、さらに、フロッピーディスクドライブが29万8000円、ドットインパクトプリンタが10万円、増設メモリが4万8000円かかりました。締めて72万4000円。ちなみに当時私が乗っていた中古車の値段が45万円だったので、車よりも高い買い物になりますね。給料8カ月分の買い物でしたが、今思うと実家暮らしだったからこそできたのだと思います(笑)。

phot

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