KPMGジャパンのフィンテック・イノベーション部長である東海林正賢氏は、「既存のITのプロジェクトとフィンテックがごっちゃになっているところが多いのではないか」と日本企業におけるフィンテックの状況を指摘した。
海外が既存事業の強化である「顧客体験価値向上」を挙げているのに対し、日本企業がフィンテックに取り組む目的のトップは「業務効率化」(69%)だ。
推進している部署も、新規事業を担当する部署ではなく、情報システム部門が対応しているところがほとんどで、「既存のITとすみ分けができていない」(東海林氏)。いわば、ITの延長で新しい技術を使うのが、日本のフィンテックとなっている。
経営のトップ層が責任者となるケースも少なく、部長、室長クラスが49%にのぼるということもアンケートからは明らかになった。「どうしても、コスト削減や業務効率削減のほうが稟議書に書きやすくなるのでは」と東海林氏は分析する。
なぜ日本ではこうした状況なのか。東海林氏は、一つの理由として日本でだけ流行しているRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を挙げた。「日本ではRPAが入りすぎてしまったのではないか。RPAをやることでデジタル化しているという思いになってしまう。RPAの本質はデジタル化ではない」
この調査は、2019年3月から4月にかけて、国内上場企業全社を対象に、郵送およびWebアンケートで行われた。有効回答数は170社だった。
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