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お客が300万人増えないと割にあわない!? サイゼリヤがキャッシュレス決済導入に慎重になる理由を考察飲食店を科学する(2/4 ページ)

» 2019年12月09日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

サイゼリヤは原価率が高い

 売り上げランキング1位はすかいらーくホールディングス(売上高3664億円、営業利益228億円)、2位はサイゼリヤ(売上高1565億円、営業利益95億円)、3位はロイヤルホールディングス(売上高1377億円、営業利益57億円)、4位はジョイフル(売上高728億円、営業利益4億円)、5位はココスジャパン(売上高574億円、営業利益8億円)となっています。

 ここで業界1位のすかいらーくと業界2位のサイゼリヤの決算データを比較してみます(サイゼリヤは国内のみのデータ。すかいらーくホールディングスに関しては、セグメント別の決算データが公表されていませんのでグループ全体の決算データとなります)。

 売り上げに関しては、サイゼリヤが1189億円に対して、すかいらーくグループは約3倍の3364億円となります。ここで注意したいのが原価率です。すかいらーくグループの原価率が30.4%であるのに対して、サイゼリヤの原価率は36.2%と5.8%も高くなっています。ちなみに他のファミリーレストランチェーンの原価率は業界3位のロイヤルホールディングスが31.8%、4位のジョイフルが32.8%、5位のココスジャパンが32.9%となっています。各社の原価率の数値を比較すると、サイゼリヤの原価率がいかに高いかがお分かり頂けると思います。これは言い換えると、お客さまに対して、安く商品を提供しているということです。同社の掲げる理念である「おいしさとリーズナブルへの挑戦」を実践している結果でもあると言えます。

 次に営業利益率を見ていきます。サイゼリヤの国内店舗の営業利益率は4.3%、一方ですかいらーくグループの営業利益率は6.2%であり、サイゼリヤの方が1.9%低くなっています。「たかだか1.9%」と思われる方もいるかもしれませんが、年商1189億円の1.9%ですと単純計算で23億円になります。この額を見ると営業利益率1%の重要さがお分かりになるかと思います。

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