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「an」終了にみるバイト求人の本当の課題 テクノロジーは人材広告業界の不透明性を解消できるかアルバイト採用支援ツール開発者に聞く(2/3 ページ)

» 2019年12月09日 07時30分 公開
[らいらITmedia]

人材業界の採用プロセスを透明化したい

―― バイト求人のなかでは具体的にどんな課題があるのでしょうか。

 1つ目は人材業界の不透明性が高いということです。例えば、僕が採用担当者で、「人が辞めたので足りないけどどうすればいいんだ」とGoogleで検索しても、具体的な方法が分からないんです。

 タウンワークなどの求人媒体に広告を出すのはオーソドックスな方法ですが、いざ出そうと思っても、どこに出したらいいのか分からない。出そうと思っても広告の価格が分からない。さらに、広告業界では“あるある”かもしれませんが、来る営業によって販売価格が変わってしまうんです。

「人材業界の採用プロセスをテクノロジーで透明化したい」と語る陳氏

―― 定価が決まっているなかで、そんなに変わってしまうのでしょうか?

 例えば、チェーン店などでよく聞くのが、駅の北口と南口にそれぞれ同じ店舗がありました。違う営業が2人来ました。同じ商品を売ります。定価10万円ですが、片方は5万円、片方は2万円で使っています……みたいなことがあるような業界です。この不透明性の部分も解決したいですし、すごく時間かかったり面倒くさい作業をやっていたりする現状もあるので、そこもITの力を使って、エクシーでもっと簡単にしていきたいなと感じています。

―― 人材広告業界の不透明性を解消するために、「人と違うことをやる」が哲学の陳さんがエクシーを生んだというわけですね。新サービスを形にするときの難しさはありましたか?

 人材業界は労働集約型で既存のビジネスモデルが50年間も続いている業界なので、いい反応とよくない反応が半々だと思っています。エクシー上ではいろいろな求人媒体に実際に発注できるのですが、他社の営業からしたらアカウントを取られたくないですよね。エクシーができたことで採用側は営業を呼ばなくてすむ一方、エクシー上であればいろいろな求人媒体に出稿する選択肢が生まれます。そのあたりを是とするかどうかだと思います。

―― エクシーのような仕組みが浸透したら、求人広告の営業そのものがいなくなる可能性がありますか?

 いなくなるというより、減るか、役割が変わると思っています。テクノロジーが進化したら、営業がやらなくてもいいことは絶対に出てきます。ただし、一方で企業の採用戦略を立てたり、人と関わる安心感だったり、システムやデータではできない部分もあります。そうしたスキルを持つ営業は残るでしょう。

―― 採用戦略となると、営業というよりコンサルに近くなるのでしょうか。

 はい、なので営業自身のレベルも上がると思います。僕も営業の経験を通してすごく限界を感じていました。顧客が抱える課題を本気で解決しようと思ったとき、自社のサービスだけだと解決しきれなかったりするので。

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