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» 2019年12月16日 05時00分 公開

食の流行をたどる:「賞味期限20分のジュース」「1本2000円」 バナナの高付加価値化が止まらない背景とは (4/4)

[有木 真理,ITmedia]
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なぜ、バナナが流行しているのか?

 でな、なぜ、こんなにもバナナが注目されているだろうか?

 元来、バナナは日本人に愛されている果物である。ただあまりにも身近過ぎてブームとはほど遠いものであった。だが、バナナは安価で、いつでも手に入る。手軽に栄養が取れることはもちろんのこと、果物の中でも、特に持ち歩きやすく、いつでもどこでも食べられ、手が汚れないことが魅力だ。いまやコンビニでも、スターバックスにもバナナがあり、しかも昨今の個食化に伴い1本売りも主流となっている。量販店ではバナナケースも販売されており、女性の間で「かわいい」と人気を集めている。

 昨今バナナブームが起こった背景にあるのは、専門店の登場に加え、人気テレビ番組でバナナが取り上げられたことが大きな要因である。しかし、バナナは、前述した要素以外にもブームになるポテンシャルを秘めていたのである。その3つの要素について解説したい。

 1つ目は、ブームになる要素として重要なキーワードである“効果・効能”である。健康・ダイエットなど、食べることで消費者に何らかのメリットがある(または、ありそうな)こと。これは食のブームにおいて欠かせない要素だ。バナナは、なんといっても栄養価が高い果物だ。そして、栄養価が高いだけではなく、ヘルシーデザートとしても楽しめる。完熟したバナナは、砂糖を使わなくてもとろりと甘い。ダイエット中だとケーキを食べるのをためらってしまうが、バナナや濃厚バナナジュースに置き換えることもできる。

 そして、2つ目の要素は“付加価値がつけやすい”ことである。安価なものから高級品まで存在しており、アレンジしやすいこともブームを起こしやすい要素だ。バナナジュース1つとっても、チョコバナナ、きなこバナナ、ミックスジュースなどさまざまなアレンジが可能だし、1本2000円のバナナや賞味期限20分のバナナジュースなど、意外性の高いものも受けている。

 そして、3つ目は、“SNS映え”である。もう聞きなれた要素ではあるが、決して忘れてはいけない。今まで、存在が当たり前すぎて注目を浴びなかったバナナが、専門店化されている。この一点特化型店舗は話題性があり、SNSで取り上げられやすい。トレンド作りの勝ち筋の1つだ。さらにバナナ自体が、SNS拡散されやすい要素を兼ね備えている。まず、バナナの黄色は映える。そして片手で持てることで、左手にバナナジュース、右手にスマホ。物撮りも、飲んでいる自分の自撮りも簡単にできるのだ。同じようにタピオカミルクティも、気軽に投稿できたことが広く拡散された要因の1つであると考えている。

 このように、ブームとなったバナナ。今後、どのような展開を見せるのであろうか? 勝手ながら占ってみたいと思う。

バナナの未来を勝手に占ってみる

 バナナは、輸入品を中心に安定供給できる品であり、非常にアレンジがしやすい。

 日本国内では生産が少ないため、その食べ方のアレンジはスイーツ、ドリンクが中心となっている。しかし、台湾、フィリピン、タイなどの生産国で、バナナはさまざまな食べ方をされているようだ。ウガンダのように主食の1つになっている国もある。完熟したバナナをそのまま食すだけではなく、まだ青いバナナに火を入れ加工するなど、日本ではなじみの薄いアレンジもある。グローバル化が進む昨今、食材だけではなく、多様な食文化やライフスタイルが輸入されている。バナナの食べ方も、「あっと驚くものが登場するのではないか?」と期待している。

著者プロフィール

有木 真理(ありき まり)

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員。1998年、同志社大学を卒業後、外食チェーン店へ。6年間勤務したのちに、フリーのフードコーディネーターに。2003年、リクルートに入社し、『ホットペッパーグルメ』に従事。全国の営業部長を経たのち、2017年、リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、「ホットペッパーグルメ外食総研」の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300回以上。ジャンルは立ち飲み〜高級店まで多岐にわたり、全国の食に詳しい。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。食を通じて「人」と「事」をつなげるイベントオーガナイザーも務める。自らが「トレンドウォッチャー」として情報発信を行う。


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