「100円おせち」はなぜ売れるのか? ローソンストア100が強気の販売予想を打ち出したワケ涙ぐましいコストカットの努力(1/2 ページ)

» 2019年12月04日 16時43分 公開
[昆清徳ITmedia]

 ローソンストア100は12月25日から、全国の店舗で「100円おせち」を発売する。2012〜18年度にかけて、100円おせちの累計販売数は550万個を突破。19年度は昨対比120%となる約138万個の販売を見込む。なぜ、これほど強気の予測を立てているのか。

100円おせちはなぜ支持されるのか

 100円おせちは、おせち料理に使うかまぼこや伊達巻などを小分けにパックし、それぞれ1個100円(税別)で販売するのが特徴。19年度のラインアップは、18年度から4種類増えて全32種類となる。伊達巻、黒豆、かまぼこといった伝統的なものだけでなく、最近ではお酒のつまみにもなる「ほたてわさび」といった商品も投入している。販売数は16年度から右肩上がりで増え続けており、18年度は昨対比130%となる115万個を販売。過去最高の実績となった。

100円おせちのラインアップ

軽減税率と外食チェーンの正月休みが追い風

 なぜ、100円おせちはこれほど売れているのか。同社はおせち料理が「作る時代から、買う時代」にシフトしているためだと分析している。18年、楽天市場が30〜60代の女性400人を対象に実施した「おせちに関する意識調査」によると、重箱入りおせちや単品のおせち料理を購入する「購入派」は36.1%。「手作り派」(24.2%)を上回る結果となった。購入したおせち料理と自分で作る単品を組み合わせる「組み合わせ派」は39.8%だった。

 100円おせちが売れるようになった背景には社会環境の変化もある。国民生活基礎調査によると、1953年の平均世帯人員は5.00人だったが、2016年には2.47人にまで減少。さらに、国立社会保障・人口問題研究所によると、2015年の総世帯数に占める単身世帯数の割合は34.5%にまで増えている。

 こうした状況を受けて、ローソンストア100は正月を少人数で過ごしたり1人で過ごしたりするお客が増えていると分析。さらに、「おせち料理を1品だけ買い足す」「1日で食べきれる量だけ買う」「好きなものだけ買う」といった傾向が強まっているとみている。ライフスタイルが多様化する中で、自分好みにカスタマイズできる点が支持されているようだ。

 ローソンストア100が強気になっているのは別の理由もある。消費増税の影響により、外食をするのではなく、軽減税率の対象となるおせちを購入するケースが増えるとみている。また、同社商品本部の近藤正巳副本部長は「大手外食チェーンの中には正月休みを宣言しているところもある。間違いなく家庭でのおせちのニーズは増えるのではないか」と語る。

3200円でできる豪華三段重おせち
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