東芝の経営悪化は、大事にしてきたはずの研究開発にも影を落とした。研究開発センターで半導体関連の研究をしていた30代の男性エンジニアは「装置は古く、高額の装置を買う予算もない。短期的な利益ばかりが重視され、職場のモチベーションは下がる一方だった」と明かす。このエンジニアは数年前に他企業に移籍した。
東芝は18年、半導体事業の子会社「東芝メモリ」を米ファンドが主導する日米韓連合に約2兆円で売却し、「稼ぎ頭」を失った。時代の先を読む発明やアイデアを具現化できる優秀な技術者集団に恵まれながら、ビジネスで勝てなかった東芝。その姿は、日本の産業界全体に重なる。
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