ただの田舎暮らしではない! 月4万円「全国住み放題」サービスが獲得したい“共感”とは乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(3/5 ページ)

» 2019年12月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

「あの人にまた会いたい」が地域の魅力になる

 家守とは、各物件を管理する担当者のこと。とはいっても、ハード面の管理をするだけではない。利用者と地域をつなぐキーパーソンの役割を担う。

 「若い世代は、遠い地域の情報もネットで手に入るし、観光ツアーにもあまり興味がない。だからADDressでは、他とはちょっと違う、自分だけの体験ができることを重視している」と佐別当氏は話す。

 ただ滞在するだけではなく、地域の人たちと交流したり、イベントに参加したりする機会がなければ、その地域の本当の魅力は伝わらない。交流のきっかけや地域ならではの情報をもたらしてくれるのが家守なのだ。

 家守については、多種多様な人材を採用している。家守自身が「その地域の魅力」になることを目指しているからだ。原則1拠点に1人の家守がいるが、年齢は20〜82歳と幅広く、経歴なども多様だ。物件のオーナーの関係者や「地域おこし協力隊」などに声を掛けて家守のなり手を探しているが、「住み込みで家守をやりたい」という応募も200人ほど来ているという。

 「ハードだけでなく、ソフトを重要視している。地域の魅力は『人』の存在による部分が大きいと考えるからだ。『あの人にまた会いたい』という気持ちがあれば、リピートしてもらえるのでは」と佐別当氏は強調する。全国各地に小さなコミュニティーを形成するイメージで、人が集まる地域をつくっていく。

 近年、幅広い分野で定額制のサービスが増えている。商品を定期的に送ったり、サービスを使い放題にしたりするだけのサービスとADDressが最も違う部分は、利用者との密な関係づくりだ。「利用者との関係を構築すれば、データを活用して、個人に適した提案をすることもできる。関係を積み上げていくことが重要」(佐別当氏)

ADDressで利用できる物件の一例

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