ただの田舎暮らしではない! 月4万円「全国住み放題」サービスが獲得したい“共感”とは乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(4/5 ページ)

» 2019年12月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

3年で会員1万人、2000拠点を目指す

 現在までに、正式登録前のエントリーを含めて約5000人が登録。会員数は、数百人(1カ月限定の先行会員を含む)だという。3年後の2022年までに、会員数を1万人、物件数を2000拠点に増やす目標を掲げている。

 すでにADDressの会員としてサービスを利用している人は20〜40代が7割を占めるが、60〜70代の人たちもいるという。また、当初は「東京から地方へ」というニーズを想定していたが、現時点では、東京の会員は5割にとどまっている。地方に住んでいる人のニーズもあることが分かった。

 会員の中には、これまで借りていた物件を解約し、「家を持たない」暮らしをする人も出てきたという。ADDressの各物件には、予約制で利用できる部屋の他に、「専用ドミトリ」という部屋があり、そこに設置している固定ベッドを“自分の家”として借りることができる。住民票登録も可能だ。専用ドミトリを拠点に、倉庫サービスなどを活用して、各地を転々とする人もいるという。

 また、徳島県では、都市と地方の2つの公立学校を行き来し、両方で教育を受けることができる「デュアルスクール」という制度の実証実験が進んでいる。このような制度を活用できるようになれば、子どもと一緒に多拠点生活を体験することも可能になる。

ADDressで利用できる物件の一例

 1アカウントで月5万円〜の「法人会員」の需要も広がっている。不動産関連の企業や福利厚生を手厚くしたい企業だけでなく、オフィスを持たない企業、さらには、各地で訪問医療サービスを手掛けるクリニックなども利用しているという。「IT、クリエイターだけではない。医療、農業、小売り、教育など、地方で必要とされるサービスを提供する企業の利用が見込める」(佐別当氏)

 一方、現状の課題は交通費がかさんでしまうこと。その負担を軽減するために進めているのが、公共交通機関などのモビリティー関連企業との連携による「移動を含めた定額制サービス」の構築だ。

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