ただの田舎暮らしではない! 月4万円「全国住み放題」サービスが獲得したい“共感”とは乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(5/5 ページ)

» 2019年12月25日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]
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移動を前提としたライフスタイルへ

 ANAホールディングスとは20年1月下旬から実証実験を開始。ADDressの利用料金に月額2万〜3万円を加えることで、全国の指定路線・便を4回(または2往復)利用できるサービスを展開する。平日の昼間など、空席が多い便の有効活用にもつながるという。

 中古車買い取り・販売店「ガリバー」を運営するIDOMの定額制カーシェアサービス「NOREL(ノレル)」とも連携。ADDressの指定物件の駐車場に車両を設置し、各物件とガリバーの店舗で乗り捨てできるサービスを20年1月から始める。

 また、JR東日本スタートアップとも事業連携する。まずは、JR東日本グループのホテルを利用できるようにする連携から開始。鉄道による移動サービスを組み込むことも検討している。

 会員や拠点数を増やし、サービスを拡大していくために、今後はまだ拠点がないエリアにも進出していく方針だ。サービス開始当初は、東京の会員が頻繁に通える関東の物件を増やしたが「もっと全国へ行きたい」という声が多いことから、エリア拡大を急ぐ。そのために、地方自治体や地場企業との連携も強化したいという。地元に精通している企業や金融機関の協力を得て、物件やオーナー探し、家守の育成などに注力する。

 「移住・定住ではなく、“移動を前提とした”働き方やライフスタイルが生まれている」と佐別当氏は話す。暮らしや仕事に対する価値観の変化が始まっている今、ADDressへの共感を増やすことが地域や日本社会の問題を解決する足掛かりとなるかもしれない。

2019年10月末時点の拠点マップ。未進出エリアにも拠点設置を目指す
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