なぜ他人の別荘に泊まる人が増えているのか 一休のバケレンがバケた水曜インタビュー劇場(滞在公演)(1/6 ページ)

» 2019年09月25日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 東京の新宿からクルマを走らせて、1時間30分ほど。富士山麓の森の中に、スタジオハウスとして建てられ、現在はバケーションレンタル(以下、バケレン)として使われている物件が姿を現した。今回の取材場所は、ここ「yl&Co.Hotel in Mt.Fuji」である。

 敷地面積は3141平方メートル。部屋の中から指をさし、「あそこからあそこまでがここの土地ね」と思わず声に出してしまうほど広い。システムキッチンは広々としていて、リビングの天井は高い。このほかにも部屋がたくさんあって、え〜と……。

 「はいはい、なんだか広そうなところで取材するのは分かったよ。それにしても『バケレン』ってなんだよ。見たことも、聞いたこともないぞ」と思われた人もいるかもしれないので、簡単に紹介しよう。

敷地面積3141平方メートルのバケレン「yl&Co.Hotel in Mt.Fuji」

 バケレンとは、他人の別荘やコンドミニアムなどに滞在すること。古くから別荘文化が根付いていて、休暇が長い欧米ではこうしたスタイルが好まれているが、日本でもじわじわ広がりつつあるのだ。宿泊サイトなどを運営する一休は2016年11月に、バケレンの予約サイトを立ち上げたところ、施設数も利用者もどんどん増えているのだ。

 当時、約100施設でのスタートだったが、「オレの物件も使ってよ」「ワタシの別荘もどうぞどうぞ」といった声が相次ぎ、19年8月末現在で750施設を突破。紹介できる物件が増えると、「オレも泊まりたいよ」「ワタシも使ってみたい」といった声が増え、18年4月〜19年3月の取扱高をみると、前年同期の2倍に。

天井が高く、開放感があるリビング

 こうした数字をみると、バケレンを利用している人が増えていることがうかがえるが、ここで疑問が2つ。他人の別荘に泊まるのであれば「民泊」だと思うのに、なぜ「バケレン」なんて横文字を使うのか。事業をスタートさせて、まだ3年が経っていないのに、なぜ施設数がこれほど伸びているのか。この疑問に対して、一休でバケレン事業を担当している森隆さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

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