インタビュー
» 2019年12月26日 05時00分 公開

失敗の繰り返しから得た「果実」:抵抗勢力は30代 オフィス改革“断行”の内田洋行が達成したこれだけのコスト削減 (1/4)

内田洋行は10年前のオフィス移転を機に最も働きやすい環境を考え、実証実験を重ねてきた。書類の保管スペースを費用換算で1800万円の削減、会議室利用の効率化のために独自システムを開発し、同じく1000万円を減らすことができた。その成果を顧客向けサービスや商品の開発にもつなげている。社内の「抵抗勢力」の反対もありながら、いかに生産性の高い働き方を実践してきたのか――。

[成相裕幸,ITmedia]

 「働き方改革」が叫ばれる中、いかに仕事のムダをなくし個々の社員が最大限の生産性をあげることができるか。その環境を整備することがどの業界、業種にも求められている。内田洋行は10年前のオフィス移転を機に、最も働きやすい環境を考え、実証実験を重ねてきた。

 ビジネスに必須とされていた紙資料を極限まで少なくし書類の保管スペースを費用換算で1800万円の削減、そして会議室利用の効率化のために独自システムを開発することによって、同じく貸会議室利用料換算で1000万円を減らすことができた。その成果を顧客向けサービスや商品の開発にもつなげている。社内の「抵抗勢力」の反対もありながら、いかに生産性の高い働き方を実践してきたのか。同社経営企画統括部第2企画部・矢野直哉部長、ICTリサーチ&デベロップメント ディビジョンICTプロダクト企画部橋本雅司課長に聞いた。

phot 紙資料を少なくして保管スペースを削減。「抵抗勢力」がありながら、いかにして改革を「断行」したのか?(写真提供:ゲッティイメージズ)

環境だけが整っても意味がない

 内田洋行はオフィス家具の企画・開発をはじめITインフラの整備や構築、クラウド環境を企業や自治体・行政に支援する専門商社だ。最近では教育現場でのアクティブラーニングが進むなかでICTの授業支援も進めている。昨今では働き方改革が世間に浸透していく中で、全社で仕事をする環境の「変革」を支援する「Change Workingコンサルティングサービス」を提供している。「Change Working」とは働き方と働く場所の両面の課題をさまざまな手法から見直し、どれくらいの効果があったのかを数値化や検証をしたうえで改善を繰り返すやり方だ。

 「働く場所もICTも環境整備をしっかりやらなければならない。ただ整備したからといって成果があがるか、ワーカーの行動が変わるかというとそれは別の話。働いている人、1人1人の行動様式が変わらければならない。行動が変わり、意識が変わり、組織風土が変わるという両輪で働き方を変えていこう、というのが私たちのスタートでした」(矢野氏)

 それは「自社実践」から始まった。会社全体で大きく働き方を見直すきっかけになったのが、2011年に竣工した新川第二オフィス(東京・新川)への移転だ。それまで都内のテナントビルにオフィスが散在していたが本社の隣のビルに各部署を集約した。「Active Commons」という働き方変革のコンセプトで目指したのは「働いている人が一番生産性が高まる場所、手段を用いて働くこと。ミーティングスペース、リフレッシュスペース、自席……どこでも最高のパフォーマンスで仕事ができるようにすること」(矢野氏)だ。

 まず着手したのは固定席の廃止だ。昨今ではフリーアドレスは珍しくなくなったが、内田洋行の場合、ただ自席を決めないだけでなく、オープンスペースのほかに衝立(ついたて)で仕切った一人席や密閉した1人用の個室も設置した。集中したいときや、周りの意見を聞きながら仕事を進めたいときなど、個々の状況に合わせた仕事環境を選択できるよう整えた。

phot 内田洋行の経営企画統括部第2企画部・矢野直哉部長
phot 密閉した一人用の個室も設置してあった。使用中の場合は赤色に、使用していない場合は緑色に点灯する
phot オフィスのいたるところにあるモニターですぐに情報共有できる
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