攻める総務

抵抗勢力は30代 オフィス改革“断行”の内田洋行が達成したこれだけのコスト削減失敗の繰り返しから得た「果実」(3/4 ページ)

» 2019年12月26日 05時00分 公開
[成相裕幸ITmedia]

会議室ではなく「会議ができる場所」が2倍に

 会議に対する考え方も変えた。ペーパーストックレスによって空いたカタログなどの収納庫スペースなども利用し、会議室ではなく「会議ができる場所」を2倍に増やした。ほとんどが壁で仕切らないオープンスペースにしてモニターやプロジェクターを設置。密閉した会議室ではなく、席のまわりにベンチシートや3〜4人がけのボックス席などを多く設けた。

 すぐにミーティングができる環境を整え、会議の質をはかってみると1件あたりの会議時間は約10分短縮。内容も伝達・報告型からプロジェクトを深く話し合う検討型の会議が増えた。「わざわざ会議室にこもって報告する時間が少なくなった。5〜10分ミーティングが増えてその場で即決する動きも増えている」(矢野氏)。

 さらに会議室予約管理システム「SmartRooms」を自社で開発。そのシステムでは会議開始から一定時間をすぎても入室ボタンが押されないと自動的に予約がキャンセルされ、その時間内に別の新たな会議を入れることができる。平均するとこのキャンセル後に新たに50%が利用され、会議室の稼働率が向上。移転前は会議室の数が足りないため会社近くで外部の貸会議室を利用したり、ときにはその時間に空いている会議室がないため会議自体を延期したりという不都合が生じていたが、その分を数値化すると1000万円のコスト削減になったという。

 ここで重要なのがICTの活用だ。橋本氏は同社のICTの基本的な考え方について「目指すのは効率性と創造性の向上。効率性とは付加価値を生まない無駄な時間を削減して業務の目的に充てられるようにする手伝いだと考えている。創造性はアウトプットの質の向上、意思決定速度を上げるためのソリューションを考えること」と話す。目的は「特に会議に関わる生産性を上げること」(橋本氏)だという。

phot 会議室予約管理システム「SmartRooms」を自社で開発。会議開始から一定時間をすぎても入室ボタンが押されないと自動的に予約がキャンセルされ、その時間内に別の新たな会議を入れることができる(以下、写真は内田洋行提供)

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