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» 2020年01月03日 04時00分 公開

【第1回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」:「人生の“選択”には意味がない」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長の経営哲学 (1/4)

2020年がいよいよ幕を開けた。年初にふさわしい企業経営者のインタビューを前後編でお届けする。多額の債務を背負い、債務超過で倒産寸前だったメガネ製造販売チェーンの「OWNDAYS」を30歳のときに買い取り、10年足らずで再建を果たした田中修治社長だ。前編ではOWNDAYSが海外に進出する際に何を重視していたのか、なぜ日本企業の海外進出は奏功しにくいのかを聞いていく。

[森永康平,ITmedia]

 東京五輪を初め、「新しい時代」を象徴する2020年がいよいよ幕を開けた。年初にふさわしい企業経営者のインタビューを前後編でお届けする。多額の債務を背負い、債務超過で倒産寸前だったメガネ製造販売チェーンの「OWNDAYS(オンデーズ)」を30歳のときに買い取り、10年足らずで再建を果たした田中修治社長だ。

photo OWNDAYSの田中修治社長(以下、撮影:山本宏樹)

 2018年に書き下ろした自伝的小説『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)はベストセラーとなり、若手のビジネスパーソンから圧倒的な支持を集めている。また、1月3日、4日、5日にはテレビ朝日で3夜連続の新春スペシャルドラマ「破天荒フェニックス」(主演・勝地涼)も放送される。

 田中社長は起業家が日々実践すべきことに「失敗を研究すること」を第一に挙げる。その理由として「成功はいわばアートのようなもので再現性はない。一方で失敗はサイエンスに近く、研究することに意味がある」と答えた。

 成功した企業の戦略を学ぶ以上に、倒産した会社がなぜそのような道をたどったのかを検証する姿勢――。これこそが「起業家が成功する条件」なのだ。ITmedia ビジネスオンラインでは「あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る」を連載し好評を博したが、今回から「気鋭の経営者が語る『失敗の法則』」として、第一線の経営者たちに会社経営の要諦を聞く連載を始める。第1回目では、倒産寸前の会社を再建させた田中社長にあらためてビジネスに対する考え方を聞いた。

 前編ではOWNDAYSが海外に進出する際に何を重視していたのか、なぜ日本企業の海外進出は奏功しにくいのかを聞き、後編ではOWNDAYS再建時に大切にしていた考え方に迫る。聞き手はマネネCEOで経済アナリストの森永康平氏。

photo 田中修治(たなか・しゅうじ)1977年、埼玉県生まれ。10代の頃より起業家としてさまざまなビジネスの経営に携わる。2008年、30歳で多額の債務を抱え倒産寸前だったメガネ製造販売チェーン『OWNDAYS』を買収し筆頭株主に。同社の代表取締役社長に就任し、事業の立て直しに尽力した。現在同社は国内に加えてシンガポール、台湾、香港など海外を含めて330店舗近くでアイウェアブランド『OWNDAYS』を展開している。

シミュレーションすることに意味はない

――『破天荒フェニックス』は物語として非常に面白いと感じました。その反面、14億円の負債があり「絶対に倒産する」といわれていた企業を当事者として実際に立て直すには大変な苦労があったと思われます。私は特に財務会計のプロとして登場し、資金繰りに奮闘していた奥野良孝さんというキャラクターが印象に残っています。田中社長のブレーキ役として描かれていましたね。

 ありがとうございます。小説自体は事実を基にしたフィクションですから、実は奥野はあそこまでブレーキ役ではないのです(笑)。小説の中のエピソードはもちろん本当のことですが、既にOWNDAYSにいない人のことは書けませんから、そこは奥野というキャラクターに置き換えています。

 レンズの追加料金ゼロの話も、当時に営業担当役員だった人が止めてきましたし、海外進出も法人担当役員が止めてきたんですね。それを小説のなかでは奥野が止めたように書きました。不思議なことに、当時新しいことを止めてきた人たちは、全員辞めていきました。

――毎年20億円の売り上げを生む企業を、もともとの経営メンバーは3000万円で売ろうとしていました。その理由は毎月発生する2000万円の赤字と、14億円という負債が大きかったのだと思います。数字の大きさから、普通は「手を出すのをやめよう」と思いますが、田中社長はなぜ再生させようと思ったのですか?

 特に理由はないですね。当時OWNDAYSの再生案件がなかったとしても、何か他の案件を手掛けていたと思います。OWNDAYSの再生案件がなかったら、どこかの会社で自分が会社員をやっているとは思えません。僕は20代からビジネスをやっていて、いつか社会にインパクトを与えたいと思っていました。

 OWNDAYSがなかったら、もっと負債の大きい会社を買っていたかもしれないし、自分が当時やっていた会社でもっと大きな負債を負っていたかもしれないです。

――かなりアグレッシブですね。OWNDAYSを買ったときから考えて、現在の自分に対して思うことはありますか?

 そうですね。正直なところ、いまの自分の状態がとても不満です。40歳のときには航空会社を買っている予定でしたから(笑)。20代の自分が考えていたスケール感と比べてしまうと、現在の自分のスケール感の小ささには不満というかジレンマがあります。

 メガネ店を買っちゃったからかなぁ……。それこそ、ゲーム会社をやっておけばよかったなぁとか。こんなに苦労して、こんなもんかぁって思うときもある。自分を卑下して考えてしまうときも多くあります。でも、40歳を過ぎて、人生がいろいろ分かってきて、仮にゲーム会社やIT企業を経営していても、そんなにいまの規模感と変わらなかったのかなぁとも思います。「あのときにこうしていれば、こうだったかもしれない」っていうシミュレーションには意味がないのかもしれないですね。

photo 1月3日、4日、5日には3夜連続ドラマ「破天荒フェニックス」(主演・勝地涼)も放送される(テレビ朝日のWebサイトより)
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