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「人生の“選択”には意味がない」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長の経営哲学【第1回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」(3/4 ページ)

» 2020年01月03日 04時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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企業の海外進出には「二軍」が来る

――国内事業が軌道に乗りきらず、資金が潤沢にあるわけでもないなかで、シンガポールや台湾への積極的な進出を決めました。普通であれば、まずは国内事業を軌道に乗せて財務的な体力の回復を待つことを優先しそうですが、なぜあえて攻めることができたのでしょうか?

 日本でずっと同じことをやっているよりも、海外でやった方が面白いと思ったんです。国内にいようが海外にいようが、どうせ戦うことに変わりはないじゃないですか。

――失礼なことを言いますが、日本企業の海外進出ってだいたい失敗しますよね? 貴社の海外事業がうまくいっているのはなぜなんでしょうか?

 まず、海外に出ていく会社は基本的に日本でうまくいった会社ばかりです。だから日本に軸足が残っているんですね。「背水の陣」で臨んでいるようにはあまり見えない。

 つまり日本で成功している企業の海外進出にはその会社の「二軍」が来るんです。一軍の部隊は日本で仕事をしている。日本のマーケットはかなり大きいので、成長の限界がなかなか来ないんですね。だから、国内で首位になっても伸び続けられる。

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――私も海外駐在をしたり、海外で会社の経営をしたりしたことがありますが、言葉や文化の違いもあり、大変なことも多いですよね。

 当社の現地法人の社長を任せる人材を選ぶ際には国籍は関係なく、適性があるかどうかで決めます。当社は既に社員数をみると海外の方が多いんですけど、僕が英語が話せなかったのがよかったと思っています。僕はカタコトの英語でコミュニケーションをしています。英語は勉強したんですけど、ムリですね(笑)。

 自分自身で英語を頑張って身に付けるよりは、翻訳ではなく自分の伝えたいことをきちんと“意訳”できる人を雇った方がいいなって。海外進出すると急に「英語ができる人がエラい」みたいな雰囲気が社内にできるじゃないですか。当社も最初はそんな雰囲気がありました。でも今では、そんな「英語ができるマウンティング」みたいな文化は当社には全くない。だって、社長の僕が全くしゃべれないですから(笑)。

 それによって、例えばデザイナーとかエンジニアとか各部門のプロフェッショナルが「英語ができる、できない」という理由で活躍の機会が削がれることがなくなりました。

 社長が英語をペラペラ話せると、英語を話せない社員たちが一歩引いてしまう。そうすると、せっかく日本でそろえてきた有能な人材を活用しきれない。英語はただのスキルなんです。全員が中途半端に勉強するぐらいなら、語学が堪能な人を雇って通訳してもらった方が断然効率がいい。

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