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「人生の“選択”には意味がない」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長の経営哲学【第1回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」(2/4 ページ)

» 2020年01月03日 04時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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「モテる方」を選んできた

――田中社長にとってメガネはどんな存在なんですか?

 メガネで食べているわけですからもちろん大事なんですけど、空気みたいなものだと思っています。僕は、映画を見たり、本を読んだりするときにはメガネをかけています。乱視が強いんです。

 いまはメガネを商材にしていますが、商材や業界がなんであれ、いまの自分の力量がどうなのかが大事かなと。経営者として自分自身が成長していかないと、もっと大きなステージには行けないと思います。

――商材や環境は関係なくて、自分が成長することが重要ということですね。

 みんな自分の思い通りに物事が進まないと環境のせいにしますが、本当はそれっておかしいんですよ。社員にも研修で伝えています。「選択」に意味はないんです。転職もそう。みんな転職することをウルトラクイズの〇×みたいに思っています。どっちが成功なのかって考えがちですよね。でも結局、どっちを選んでも両方とも天国と地獄が待っているんです。結局、自分がどう行動したかの結果でしかない。

 とどのつまり、成果を出せる人はどこの会社や業界にいても成果を出せる。いまは有難いことに、当社には優秀な人がどんどん集まってきてくれているんですけど、うちに来たから成果が出せているんじゃなくて、もともと成果を出せる人が転職してきただけなんですよ。仕事ができなくて転職した人で、他に行ったらすごく成果が出せるようになったって話はあまり聞いたことがない。

 みんな人生の選択には悩むものですが、実はどっちを選んでも結局一緒なんですよ。

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――でも、やはり選択肢が目の前にあったら、悩んでしまうのが人間ですよね。どうやったらスパっと選択できるようになりますか?

 どうやって決めるかは社員にもよく聞かれますね。僕は30代くらいまではずっと「モテる方」を選んでいました。父親も会社をやっていたので、その会社を継げば今ほどは苦労しない人生が待っていたのかもしれない。だけど、負債企業を立て直す方を選んだのは、そっちのほうがモテそうだったからです(笑)。

 親の会社を継いだ2代目よりも、自分でやっている方がかっこいいかなと(笑)。でも結婚して子どもが生まれてからは、「モテたい」という気持ちが落ち着いてきて、35歳くらいからは「面白い方」を選ぶようになりましたね。

 あと、少し前に会社の株を半分売ったんです。そのときにも、全部売却してOWNDAYSから卒業して別のことをするか、株を残して会社に残り、メガネ業界でナンバーワンを狙うか。選択に悩みました。そのとき選択の鍵になったのは3人の子どもたちでした。

 子どもたちに、お父さんは「お金はいっぱい持っているけど、いまいち何をしているか分からない」と思われるよりは、「会社を経営していて、そこに組織があって、店舗があって多くの人に必要とされている父親」を見せていきたいなって。

 これまでもお金が判断基準になったことはないです。最近は旅行に行くにしても、子どもに見せたいところに行くようになりました。家を買うときも、子どもを住まわせたいかどうかで決めます。いま個人で人生において何か迷ったときに判断する基準は全て子どもですね。子どもの前でどんな父親を見せたいか――。

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