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「成功はアート、失敗はサイエンス」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長が語る「会社経営失敗の法則」【第2回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」(2/4 ページ)

» 2020年01月04日 04時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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「カリスマ店員の極意」に再現性はない

―――企業を経営していると、人材採用が非常に難しいポイントになってくるかと思いますが、その辺りは?

 そうですね。人を採用するときも、この人を採用したらどういうメリットがあるかというよりも、「この人は採用したらヤバいなっ」ていう人をいかに採用しないか。ここを重要視しています。1人ヤバい人が入社すると困ります。その人が財務・経理やシステムなど、会社の根幹を担う立場にいると致命傷になりかねない。

 僕の場合、鍵になるポジションの採用は全て自分で面接をしています。会社が大きくなると会社のコア部分の採用も、誰かに任せるようになってしまう企業が多い。それで、いざ問題が起きると「そんな人がいたのか。誰が採用したんだ!」と怒る社長もいますが、どれだけ会社が大きくなっても、社長の仕事は人材採用が全てと言ってもいいと思います。それくらい失敗を避けるためには採用が大事なのです。

――自身で面接をする際、何を基準にしてヤバいかどうかを見抜くんですか?

 言葉にはできない空気感があるんですよね。危なさというか。例えば、何十代で、何社転職していて、どこの媒体から来ていてとか……採用に関わるデータを集めて分析すると、一定の条件が出てくるんです。なので、システマチックにデータをもとにした部分と、長年の経験で培った勘を合わせながら判断しますね。

photo 採用についての考えを語る田中社長と筆者の森永氏(左)

――確かにデータを基に判断することは重要ですね。採用について聞きましたが、顧客や社員に対しても何かデータや特別なルールを用いて運営していることはありますか?

 メガネの価格は商品の価値が半分。そしてもう半分は、スタッフが生み出すサービスの対価だと思っているので、ただ単純にモノを右から左に動かしたら売れるというわけではなくて、店舗のスタッフがどれだけ適切に対応できるかがカギを握っています。

 店舗スタッフの研修では、成功事例の共有はほとんどしないんです。よくある「カリスマ店員の極意」みたいなものは、ほとんど再現性がないんですね。あんなのは再現できません。売れる販売員は何をもって接客が優れているのかというと、販売員自身のキャラクターとお客さんとの関係性によってきますし、実はこれが何よりも重要なんです。

 例えば、かわいい女性店員が、男性のお客さまに「すごく似合います―」って親しげに話しかけて接客したら売れたとします。でも、これを成功事例として文章にして研修しても……おじさんの店員が若い女の子のお客さまに同じ対応をしたら、下手するとセクハラになりかねない(笑)。メガネ店の場合、お客さまも店員もさまざまな年代や性別が混在するので、成功事例を共有しようとしても、前提条件のパターンがあまりに多すぎるんです。

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