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「成功はアート、失敗はサイエンス」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長が語る「会社経営失敗の法則」【第2回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」(3/4 ページ)

» 2020年01月04日 04時00分 公開
[森永康平ITmedia]
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スタッフにとって最大のストレスは「客からのクレーム」

――顧客対応において前提条件のパターンが多すぎるというのはその通りかと思います。成功事例には再現性がない一方、失敗はパターン化しやすいですね。

 逆に当社の場合は、クレームの発生ケースをかなり分析しています。そうすると、クレームに発展するケースにはかなりの部分で共通点があるんですね。例えば「20分後にできると言われたのにできていない」とか「保証の説明がなかった」とか「レンズの度数が合っていなかった」とか。お客さまの怒るポイントの多くは共通しているんです。

 それならば、事前にそのケーススタディーを繰り返し学習させて、クレームになるようなミスを起こさせない。失敗はさせない。スタッフの立場から考えても「お客さまから怒られる数が減る」というのは非常に大事なんです。仕事をしている中でお客さまから怒られるのは、スタッフにとって最大のストレスですし、苦痛ですから。

 当社では覆面調査員が店舗を年間4回ほど回っています。そうやって、全ての店舗の調査を続けています。

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――そうなんですね。どんなところを見ているんですか?

 チェックすることはたくさんあります。「何コール以内に出ること」といった電話の出方、新しい商品を入れるときに「これは塗装がハゲてしまう恐れがあるので、暑いところに置かないでください」といったことなど、発見した課題を具体的なマニュアルに加えていくんです。お客さまに対して「このフレームいいですよ」とアピールするだけでは不十分で、将来クレームになる可能性がある部分を先に伝える。特別な接客を求める前に、ヒドい接客をすることをなくしたい。

 マックもスタバも吉野家も、大手のチェーン店が優れている点は、特別感動することはない一方で、ムカつく体験をすることもない。これって当たり前のようだけど、あの規模で維持するのは非常に難しいんですよね。個人経営のお店では時々スゴい感動することもある一方で、「2度と行かねぇっ」ていう体験をすることもある。だから、チェーン店を運営する会社において、成功事例の共有には意味がないんです。失敗の共有こそが重要。 

 OWNDAYSでは「失敗してもいいからやってみろ」はあり得ない。世間では「俺が責任取ってやる」と言う上司がカッコいいみたいな雰囲気もありますが、それは悦に入っているだけで会社にとっては意味がない。お客さまも嫌な思いをするし、怒られた社員も嫌な気分になる。「失敗は経験」といいますが、本当にそうでしょうか? 失敗をしないように最善の努力をしたうえでの失敗は責めないけど、最初から失敗を認める空気を作るのは全然違うと思います。プロなら失敗しないよう、常に最善を尽くさなければいけない。

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