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» 2020年01月04日 04時00分 公開

【第2回】気鋭の経営者が語る「失敗の法則」:「成功はアート、失敗はサイエンス」――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長が語る「会社経営失敗の法則」 (1/4)

2020年がいよいよ幕を開けた。多額の債務を背負い、債務超過で倒産寸前だったメガネ製造販売チェーンの「OWNDAYS」を30歳のときに買い取り、10年足らずで再建を果たした田中修治社長のインタビューを前後編でお届けする。後編となる第2回目では、OWNDAYS再建時に大切にしていた考え方に迫っていく。人材採用や社員教育など話は多岐にわたった。

[森永康平,ITmedia]

 東京五輪を初め、「新しい時代」を象徴する2020年がいよいよ幕を開けた。一年の初めにふさわしい企業経営者のインタビューをお届けする。多額の債務を背負い、債務超過で倒産寸前だったメガネ製造販売チェーンの「OWNDAYS(オンデーズ)」を30歳のときに買い取り、10年足らずで再建を果たした田中修治社長だ。

photo OWNDAYSの田中修治社長(以下、撮影:山本宏樹)

 2018年に書き下ろした自伝的小説『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』(幻冬舎)はベストセラーとなり、若手のビジネスパーソンから圧倒的な支持を集めている。また、1月3日、4日、5日にはテレビ朝日で三夜連続の新春スペシャルドラマ「破天荒フェニックス」(主演・勝地涼)も放送中だ。

 田中社長は起業家が日々実践すべきことに、「失敗を研究すること」を第一に挙げる。その理由として「成功はいわばアートのようなもので再現性はない。一方で失敗はサイエンスに近く、研究することに意味がある」と答えた。

 成功した企業の戦略を学ぶ以上に、倒産した会社がなぜそのような道をたどったのかを検証する姿勢――。これこそが「起業家が成功する条件」なのだ。ITmedia ビジネスオンラインでは「あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る」を連載し好評を博したが、これに引き続く形で「気鋭の経営者が語る『失敗の法則』」を始めた。

 第1回「『人生の“選択”には意味がない』――倒産寸前の会社を再建した『破天荒フェニックス』、OWNDAYS田中修治社長の経営哲学」では、OWNDAYSが海外に進出する際に何を大切にしていたのか、なぜ日本企業の海外進出はなかなか奏功しないのかを聞いた。田中社長インタビューの後編となる第2回目では、OWNDAYS再建時に大切にしていた考え方に迫る。聞き手はマネネCEOで経済アナリストの森永康平氏。

photo 田中修治(たなか・しゅうじ)1977年、埼玉県生まれ。10代の頃より起業家としてさまざまなビジネスの経営に携わる。2008年、30歳で多額の債務を抱え倒産寸前だったメガネ製造販売チェーン『OWNDAYS』を買収し筆頭株主に。同社の代表取締役社長に就任し、事業の立て直しに尽力した。現在同社は国内に加えてシンガポール、台湾、香港など海外を含めて330店舗近くでアイウェアブランド『OWNDAYS』を展開している

成功事例の共有には意味がない

――当メディアでも取り上げた、企業存続のための教訓を紹介する書籍『倒産の前兆』(SBクリエイティブ)について「勝ちに偶然の勝ち有り。負けに偶然の負けなし。成功するパターンはいくら学んでも再現できないけど失敗は管理できる」とTweetしていましたが、どんな感想を持ちましたか?

 僕にとって失敗の研究はライフワークなんですね。読む本も失敗系の書籍ばかり。『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(ダイヤモンド社)などですね。難しかったけど原書も頑張って読みました。歴史物もかなり読みますね。それこそ、ローマ帝国がなぜ失敗したか。世界的に覇権国家ができては没落していく、という歴史も本を通じて学びました。

 国家も企業も人間も、失敗のパターンってある程度はきちんと把握できると思うんです。一方、成功を再現することは難しい。多くの失敗は歴史や他者に学ぶことによって回避できる。だけど、成功は再現するのがとても難しいんです。

 一言で言うと「成功はアート、失敗はサイエンス」といったところでしょうか。自分自身の今までの人生を振り返ってみても、うまくいったケースには、あまり汎用的な答えがありません。自分の環境を見ながら、その都度考えてやっていくしかない。一方、「失敗のパターン」というのは確実に存在するんです。特に企業経営においては、点を取りにいくんじゃなくて、いかに失点をせずに打席に立ち続けられるかが重要だと考えています。

 小説を出してから、よく企業再生のコツを聞かれるんですけど、企業の再生にコツなんてありません。お客さまと社員の声を真摯に聞き、謙虚に真面目にできることをただ愚直に一生懸命やっていくだけ。「商売」というのは真面目に一生懸命やっていればうまくいくんです。ただ、それを会社全体に浸透させることがとても難しいんですね。

 そして、その真面目な努力を皆で継続して続けていくことは、それ以上に難しい。商売というものは、どんな業界でも良いものを競争力のある価格で売ればうまくいく。ただそれ以外の部分に、失敗のワナが至るところに潜んでいる。それをいかにして避けるかが重要なんだと思います。

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