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» 2020年01月07日 08時00分 公開

小売・流通アナリストの視点:“よそもの”の力で熊本は変われるか 衰退する「地方路線バス」会社の挑戦 (1/4)

2019年秋、熊本に新たな商業施設「サクラマチクマモト」が登場した。バスターミナルを中心とした再開発であり、主体となったのは九州産業交通ホールディングス。クルマ社会により地方のバス会社は苦戦を強いられているが、どのような狙いがあるのか。経営支援を受けているエイチ・アイ・エスと一体となり、新たな地方創生のモデルとなれるか――小売・流通アナリストの中井彰人氏が鋭く切り込む。

[中井彰人,ITmedia]

 久しぶりに訪れた熊本の中心市街地は、休日だったこともあるのだろうが、多くの人でにぎわい、震災の傷跡も癒えつつあるように見えた。ただ、街のシンボルである熊本城を見上げると、修復工事の囲いと巨大なクレーンがそびえたっていて、まだ復興は途上なんだな、ということが分かる。妻が熊本出身であるわが家も、この城の一口城主の認定書を持っているが、途上ながらも以前より修復が進んだ熊本城を見るのは何となくうれしい。

修復が続く熊本城

 2019年秋、この街に新しい大規模複合施設がオープンした。「サクラマチクマモト」というこの施設は、延べ床面積16万平方メートル超、売場面積は2万8000平方メートル。大型商業施設としてはテナントが149店舗、加えてシネコン、音楽ホールを備え、バスターミナル、ホテル、オフィス、高層マンションも併設されている。地方都市としては屈指の規模となる再開発であり、もともとは「熊本交通センター」というバスターミナルと百貨店のあった場所を、周辺区画と併せて再開発した施設だ。

 これだけだと、ただの地方都市の大規模再開発の話で何が面白いの? と思われるだろうが、この再開発は実はちょっと珍しい事例である。地方の大規模再開発の主体は、イオンやJR各社というのがよくあるケースなのだが、この再開発の主体は九州産業交通ホールディングス(HD)という地方のバス会社であり、中心市街地の活性化と地域公共交通の持続可能性の追求を同時に模索する画期的な取り組みなのである。

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