動き出した1400キロのサイクリングロード 千葉から和歌山まで、壮大な計画の狙い地域ビジネス、ここがカギ(2/4 ページ)

» 2020年01月10日 07時00分 公開
[甲斐誠ITmedia]

どんなルートになる? サイクリングをシミュレーション

 未完のサイクリングロードではあるが、スタート・ゴール地点が示されたので、実際に走るとどんなルートになるのか、推測も交えて手短にシミュレーションしてみたい。

太平洋岸自転車道の計画ルート(出典:太平洋岸自転車道

 ルートの東側から出発すると仮定。スタート地点は、千葉県銚子市の銚子駅周辺とすることが19年末に固まったばかりだ。構想段階では茨城県鹿嶋市とする案もあったが、銚子市内に落ち着いた。1日の走行距離を脱初心者の分岐点とされる100キロと仮定しても、走破するまで2週間かかる計算。長い。学生はともかく、社会人が長期休暇で一度に走りきるのは厳しいかもしれない。何度か小分けに休みを取って、挑む必要がありそうだ。

 ともかく、銚子駅を背にして出発しよう。外房地域を時計回りに走り、千葉県富津市を目指す。到着したら自転車を降り、東京湾フェリーに乗り込む。自転車道であるにもかかわらず、ルートに海上国道が含まれているのだ。約40分かけて神奈川県横須賀市の久里浜に到着したら、そのまま湘南海岸を横目にこぎ続け、伊豆半島に向かおう。途中、熱海〜伊東間でルートは二手に分かれるため、半島を一周するか、山越えをするかの選択に迫られる。いずれにせよ、沼津周辺で再び合流し、静岡県の長い海岸沿いをひたすら走ることになる。静岡清水自転車道など整備された自転車道が続き、天気が良ければ左手に遠州灘、右手には富士の高嶺が望めそうだ。

 愛知県に入れば、旅も中盤戦。渥美半島の先端部にあたる田原市の伊良湖から伊勢湾フェリーで三重県鳥羽市へ向かおう。約55分の船旅の後は、ひたすら紀伊半島を時計回りに進む。高低差もあり、疲労が蓄積した肉体に負担がかかりそうだ。本州最南端の和歌山県串本町の絶景が見えたら、長かった自転車旅行も佳境を迎える。同県田辺市、御坊市を通り過ぎ、ついにゴールの和歌山市の加太港に至る。

 現状では未整備区間も多く、決して快適な旅とは言えないかもしれないが、極めて長距離ということもあり、走りがいはありそうだ。近畿地方整備局などが中心となり、この太平洋岸自転車道を、政府公認の国際水準の自転車道「ナショナルサイクルルート」に格上げしようという動きもある。20年までには少なくともロゴマークや標識を沿線で統一し、利用者が一目でルートを確認できるようにする計画だ。

2020年までに通行空間や路面表示などを整備する(出典:太平洋岸自転車道

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