実は“時代遅れ”じゃなかった 低迷していた明治の牛乳宅配はなぜ再成長してるのか乱立するサブスクビジネス 成否のカギを探る(2/5 ページ)

» 2020年01月16日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

宅配専用の商品開発

 1984年、明治は初めて宅配専用の「明治ラブエース」を開発した。カルシウムや鉄分などを含んだ乳酸菌飲料で、当時のビンに入った牛乳より10円高い価格設定だった。

 1993年には「明治のびやかCa牛乳」を発売した。これはカルシウムを強化した宅配用牛乳で、大ヒット商品になった。さらに97年には鉄分を強化した「明治のびやかFe」を投入。こちらも売れ行きが好調で、業績の回復に寄与した。お客のニーズを分析した結果、「摂取したい栄養を絞り込み、とがった商品を投入する必要があると判断した」(小池氏)という。これらのヒットの結果、業績は上向き、新規の販売店の数も増えていった。

 98年には新しい宅配用のビンを開発した。当時の宅配サービスの年間売り上げに相当する額の大規模な投資を実行。紙のキャップをなくし、シュリンクフードとポリキャップを採用した。さらに、ビンも軽量化した。これは異物混入を防止し、「安心・安全」をアピールするための工夫だ。

 2000年には「明治プロビオヨーグルトLG21」を発売。これは、すでに市販されていたLG21ブランドの宅配用ヨーグルトという位置付けだ。LG21は「胃で働く乳酸菌」がコンセプトで、明治独自の乳酸菌研究から生まれた商品である。市販用は112グラムだが、宅配用は85グラムにしている。

明治プロビオヨーグルトLG21などの機能性ヨーグルトは全体の売り上げの半数近くを占める(出所:明治公式Webサイト)

 2002年には「明治プロビオヨーグルトLG21 ドリンクタイプ」を投入。これは、LG21ブランドで、宅配専用の小型ビンに入った飲むヨーグルト。市販用は112ミリリットルだが、宅配用は100ミリリットルになっている。宅配用の量を若干減らしているのは、無理なく毎日飲みきってもらうことで、“健康習慣”を継続してもらう狙いがある。また、少ない量でも満足できるように、宅配用の商品はコクを増している。

 その後も「明治プロビオヨーグルトR-1」や「明治プロビオヨーグルトR-1ドリンクタイプ」、カルシウムと鉄分を強化した宅配用乳飲料の「明治ミルクで元気」、コラーゲンを摂取することを目的にした宅配用乳飲料の「明治うるおうコラーゲン」などを相次いで投入している。

明治プロビオヨーグルトR-1などの機能性ヨーグルトは全体の売り上げの半数近くを占める(出所:明治公式Webサイト)
牛乳やヨーグルト以外のラインアップ(出所:明治公式Webサイト)

 かつては鉄分やカルシウムをアピールすれば支持されたが、現在は消費者のニーズが多様化しており、そういったトレンドにも対応したラインアップにしている。

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