遅ればせながら日本の産業育成も、大型の官製プロジェクトではなく、国や地方自治体が起業家や挑戦者を支援するような枠組みに変わってきた。しかし、まだまだイスラエルのようにスタートアップが国の経済成長を支えるまでには至っていない。
イスラエルでは、年間1000社を超えるスタートアップが生まれ、18年の実績では623件のディールで64億ドルの資金を調達している。その80%は米国を中心とする海外からの投資である。スタートアップが次々に魅力のある技術、イノベーションを生み出すので、海外からの投資が集まるのである。
日付 | 企業名 | 買収者 | 買収額(100万ドル) |
---|---|---|---|
2011年2月 | アンサーズ(Answers) | AFCV | 127 |
2011年6月 | メディアマインド(MediaMind) | DG | 517 |
2011年8月 | ドトミ(Dotomi) | バリュークリック(ValueClick) | 295 |
2011年8月 | プリムス(Plimus) | グレートヒル(Great Hill) | 115 |
2011年9月 | テルマップ(Telmap) | インテル(Intel) | 300 |
2012年3月 | アモビー(Amobee) | シングテル(Singtel) | 321 |
2013年6月 | ウエイズ(Waze) | グーグル(Google) | 996 |
2013年10月 | オナボ(Onavo) | フェイスブック(Facebook) | 150 |
2014年2月 | バイバー(Viber) | 楽天(Rakuten) | 900 |
2014年6月 | コンテラ(Kontera) | シングテル(Singtel) | 150 |
2014年6月 | ドラゴンプレイ(DragonPlay) | ボール(Ball) | 100 |
2017年3月 | モービルアイ(MobileEye) | インテル(Intel) | 15300 |
天然資源に恵まれないイスラエルでは、人材は資源であり、優秀な人材が生み出すイノベーションが国の経済発展の原動力となった。このようなイノベーションを次々に生み出す優れたエコシステムは世界から注目されている。
イノベーションを次々に生み出す優れたエコシステムは、図のように6つの要素が密接に連携して機能しており、世界から注目されている。この中でも、イスラエルが国として行ってきた(心がけてきた)ことは、主に3つあると筆者は考えている。
それは、(1)起業家への投資を行いやすくする環境をつくる、(2)挑戦者を邪魔しないための規制緩和とインセンティブを用意する、(3)国は中身には口を出さない、である。
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