日本は技術立国として栄えてきた。
技術を育て、国の経済成長につなげてきたのは、高度経済成長期の国の産業政策とそれに応えた大企業(とそれを支えた中小企業)の功績である。例えば、1970年代に通産省が大手電機メーカーを主導して行った「超LSI技術研究組合」は大成功し、日本の半導体産業は名実ともに世界のトップとなった。
しかし、その後は少しずつ歯車が狂ってきた。汎用大型計算機からPCへの流れが見えてきたときに、あえて通産省はその次の「人工知能」を狙った「第五世代コンピュータプロジェクト」をスタートした。82年のことである。エキスパートシステムの実現を狙って、570億円という多額の資金が投じられたが、個別技術の進展はあったものの、大きな成果はなく失敗に終わった。
2007年には、再び経産省が国産の検索エンジン開発を目指して「情報大航海プロジェクト」を立ち上げ、3年間で150億円を投じたものの、これも失敗に終わっている。
優秀な官僚が政策として「ターゲットを定めた国家プロジェクト」を立ち上げ、産業界や大学・研究機関もその枠組みに乗って研究開発を進める、という意味では3件とも同じだが、超LSIと、あとに続く2件の違いは何だったか。前者の目標が技術トレンドの先に見えていた明確なターゲットで、その達成に向けて日本人の得意な改善の積み重ねが有効であったのに対し、後者はイノベーティブな目標そのものを官僚(国)が定めてしまった、という点にある。
イスラエル外務省作成「FACTS ABOUT ISRAEL INNOVATION」より ベン=グリオン大学イルセ・カッツ・ナノスケールサイエンス&テクノロジー研究所、Alina Karabchevsky博士(写真提供 Dani Machlis氏)
目標は悪くないとしても、イノベーションは、改善の努力でたどり着けるものではない。インターネットの世界におけるGAFAのような革新的成功は、数多くの挑戦と失敗の上に生まれたことを、今の我々は理解している。税金を使うので失敗はあってはならないという「理屈」の政府のプロジェクトは、残念ながら、ディスラプティブ(Disruptive)なイノベーションからは最も遠いところにいるだろう。
デザートを先に食べるイスラエル人に学ぶスピード経営
それなりの肩書のある(権限のありそうな)日本企業幹部が海外ベンチャー企業を訪問し、その独自技術や強みの説明に興味を持ったとしても、その場で提携やPOC(Proof of Concept、日本的にはトライアル)へ進むことを意思決定する人はほぼいない。大半が「持ち帰って検討する」という反応を示すことは、シリコンバレーだけではなく、イスラエルでもよく聞かれる「日本あるある」である。
IPOを選ばなくなったスタートアップ
時価総額が10億ドル(約1000億円)を超えていながら上場しない、いわゆるユニコーン企業が話題になって久しい。そこまでいかなくとも、IPOをゴールとせず、未上場のまま資金調達を進めるスタートアップが、国内でも増えている。
Slackも活用、「直接上場」がIPOよりも優れているワケ
近年、注目を集めている金融商品取引所への上場方法が「直接上場」という手法だ。世界的に一般的な手法である「IPO」と比較すると、直接上場は新株の発行(資金調達)を伴わない点で違いがある。直接上場のメリットはどのようなものがあるのだろうか。
マネーフォワードがSaaSビジネスのKPIを開示 19年11月決算
SaaSビジネスでは、顧客ごとに業績を分析するユニットエコノミスクを利用する。いったんユーザーを獲得すれば継続的に売り上げが生まれるSaaSモデルの特性から、企業全体の売り上げやコストというよりも、顧客あたりの、獲得費用、売上高(ARPA)、解約率(チャーンレート)によって事業を評価する仕組みだ。
テープ起こしをするなら音声認識が最強
会議の議事録づくりをしたことがありますか? 録音されたデータを聞きながら、文字にしていくテープ起こし作業はかなりやっかい。しかし、技術はちゃんと進歩していて、音声認識を使えばかなり楽になる。ただし、録音データをそのまま文字にしてくれるのはまだ将来の話のようだ。
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