企業倒産の件数が増えている。
東京商工リサーチによれば、2019年に倒産した企業は前年より1.8%増えて8383件。ちなみに、前年より増加となったのは2008年のリーマンショックが起きた以来で、11年ぶりのことだという。
という話を聞くと、脊髄反射で「アベノミクスの失敗だ!」と叫びたくなる人も多いのではないか。実際、このニュースを扱うマスコミ各社も言葉の端々から暗に「安倍政権が悪い」ことをにおわせている。
「消費増税などの影響で企業の倒産件数が11年ぶりに増加しました」(テレ朝news 1月14日)
「人手不足に加え、消費税増税に伴う個人消費の低迷を受けて中小零細企業の倒産が増加した」(時事通信 1月14日)
だが、このようなニュースと、調査を公表した当事者のお話にはかなりの”温度差”がある。東京商工リサーチの「11年ぶりの倒産増を読み解く」(1月15日)では友田信男・常務取締役情報本部長が、増えたといっても90年以降の30年間では3番目に少ない低水準だとして、こんなことをおっしゃっている。
『現状は「不況型」と文字通り捉えるのではなく、競争力のない企業の淘汰と見た方がいい』
『今、倒産しているのは「息切れ型」だ。各種支援を受けながらも業績が回復せず、誰が背中を押したわけでもなく限界に達した』
つまり、顧客のニーズを捉えていなかったり、ビジネスモデルが崩壊していたり、といった”残念な企業”が競争原理のなかで自然に潰れているだけというのだ。
個人的には、マスコミが報じたどのニュースより、この説明のほうがはるかにハラオチしている。今の日本には残念ながら淘汰されてもしょうがないような、「競争力のない企業」がウジャウジャしているのは、さまざまデータが雄弁に語っているからだ。
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