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「マインドチェンジ」と「学び直し」なしには生き残れない? 令和時代、IT部門のサバイバル術とは(1/2 ページ)

» 2020年01月29日 07時30分 公開
[下玉利尚明ITmedia]

 企業のビジネス課題をITで解決するために何ができるかを考えるのがIT部門の仕事ですが、変化の時代の施策を考えるのはなかなか難しいもの。IT部門の皆さんはどう対応しているのでしょうか。

 2015年春から始まったITmedia主催の情報システム部門向けリアルイベント「俺たちの情シス」が、2019年11月29日に最終回を迎えました。「情シスの横のつながりを増やそう」ということでスタートしたこのイベントですが、最近では情シスのためのコミュニティーも増えてきたことから、いったん役割を終えることが決まったのです。

 そんな最終回のテーマは「情シスの皆さんにとって、2019年はどんな1年だったのか」「クラウド時代の“データ管理とセキュリティ”はどうすべきなのか」の2つ。複数クラウドのマネジメントに悩む情シスが集まる中、ANAシステムズのITストラテジスト、鄭昌浩さんと、ITmedia ビジネスオンライン編集部の司会でイベントがスタートしました。

「俺たちの情シスFinal」には約40人が参加

クラウド時代は「学び直し」が必須、「50歳からのスタート」も

 「2019年はどんな1年だったのか」というテーマについて、編集部が事前アンケートからピックアップしたのは、「転職して、やりたいことがやれるようになった」という情シスAさんの声。以前、製造業を営む会社の情シスだったAさんは、当時の様子について「『クラウドはNG』といったポリシーにがんじがらめになっていて、やりたいことが何もできませんでした。ただただPCのお守りをしていただけ」と振り返りました。

 Aさんの発言を受けて司会の鄭さんは、「製造業に限らず情シス部門の人は、PCやサーバなどのお守りを任されることが多い。でも、クラウドの時代になった今は、社内システムの設計コンセプトやセキュリティに対する考え方が変わってきているので、情シスとして常に学び続けることで“変わるべきところは変わらなければならない”と思っています」とコメント。鄭さん自身も、50歳を超えてから、AWS(Amazon Web Services)の資格を取ったそうです。

Photo 司会を務めたANAシステムズの鄭昌浩さん

 この「学び直し」については、他の参加者からも同意の声が相次ぎ、飲食チェーンの情シスを務めるBさんも自らの経験を語りました。Bさんの学び直しが始まったのは、40才前後の時。「自分がアラフォーになった頃にオンプレミスのシステムだけで済む時代が終わり、AWSなどのクラウドサービスを触らざるを得なくなりました」(Bさん)

 現在は店舗関連の業務に加え、本部のバックオフィス業務を少しでも効率化しようと、年末調整のペーパーレス化に取り組んでおり、「HR Tech(人事領域の課題を解決するためのテクノロジー)についても学んでいる」とBさん。「10年ぐらい前は、まさか自分がHR Techに関わるなどとは思いもしなかったのですが、もう全てを含めて『学び直し』で、自分では『おもつらい』(面白いながらもつらい)1年でした」と振り返りました。

人が増えたからといってラクにはならない――女性情シスCさんが嘆く理由

 「やることが多すぎて、やりたかったことの半分もできなかった」など、人手不足に悩む情シスが多い中、「人が増えたからといってラクになるわけじゃなかった」と話すのが、製造業の女性情シス、Cさんです。

 「5年間『人を増やしてほしい』と会社に言い続けたところ、やっと増やしてくれたのはありがたいのですが、アサインされたのは『システムを知らない、まともな人』。IT用語などの“基本中の基本”から教えなければならなくて、逆に『仕事増えてる感』が強かったです」(Cさん)

 システムを知らないとはいえ、勉強もしっかりとする「真面目な人たち」なだけに、問題が発生したときには辛抱強く付き合わなければならないのが大変だったようです。

 「問い合わせてきた社内の人に対して『(システムの)使い方が悪いからうまく動かないんですよ』などとストレートに言ってしまうので(笑)、それをたしなめたり……。強く言い過ぎると辞めてしまうかもしれないので、きつく言わなければならないときにはメールで伝えましたが、そのメールが上層部に回って余計にややこしい問題になったりしました(笑)」

 言葉だけで説明しても分かりづらいだろうと思って手順書を作るようにしたら、その作業に“とてつもない時間”がかかってしまうなど、本当に大変な1年だったようです。

 「人事は『人を増やしさえすればどうにかなる』と思っているようですが、人が育って一人前になるには2〜3年かかります。その間、やることが増えすぎて、自分の心がすさんでしまったらどうしましょう」。そんなCさんの本音に、会場の皆さんは共感することしきりでした。

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