長谷川 永田さん自身は、どんな人生を歩んでこられたんですか?
永田 僕は米国の大学を経て、10年ほど前に中国に2年ちょい住んでいたんです。中国でのスーパーセンター(食料品や衣料品、住居関連商品などをワンフロアに集め、1カ所のレジで全ての会計が行える業態)化にトライしたんです。しかし、中国は人件費が安いので店舗経費という概念がないということが分かり、断念しました。その後、自社開発のデータ分析ツールを引っ提げ、シリコンバレーで起業しました。でも、3年ほどでたたむことになりまして。
長谷川 なんでシリコンバレーで起業したの?
永田 「シリコンバレーで認められないと、世界で認められることはない」っていう都市伝説に乗っかった形ですね(笑)。
でも、真面目な話、日本で10年はこのまま勝負できても、30年後は時代に見合わないものに陥る可能性があります。未来に備え、戦えるようにしていかなければなりません。だからこそ、2、3年以内にまたアメリカに進出しようと思っています。
長谷川 一度撤退しているのに、また行こうとするのは企業文化ですかね。
永田 シリコンバレーは、「挑戦して失敗するのが前提で、何度でも失敗できる人材は価値がある」という文化が浸透してますよね。
われわれも、「挑戦なしに価値は生まれない、失敗は財産」という哲学があります。社名の通り、挑戦することが大前提なんです。
長谷川 さらなる展開を考えているということですね?
永田 現状は「リアル vs. ネット」であり、リアルがネットを活用するのが先か、ネットがリアルを活用するのが先か、そして、どこがプラットフォームを担うのかが注目されています。
だからこそ、「スマートストアのトライアル」というものが確立できれば、Amazonにだって対抗できるはずだと思っています。ベゾス氏も「いずれAmazonは倒産する」と予測していますしね(笑)。日本人は100年以上続く会社作りは得意ですから、「Amazon vs. トライアル」という構図も不可能ではないと思います。
われわれの来店客の8割は、買う予定のなかった商品を購入してしまう「非計画購買型」です。現在、リアル店舗の非計画購買データはそのほとんどが取得できていない。つまり、8割の顧客行動がブラックボックスです。これからAIの基盤となっていくリアル店舗のデータを世界中が欲しがっているのは間違いありません。見えなかった8割をどこが最初に“見える化”するか、それが、次なる戦いの武器になると僕は信じています。
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