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ナイキやディズニーを経てギター最大手のCEOへ プロ経営者が見た音楽市場の“特異性”(3/5 ページ)

» 2020年02月04日 07時21分 公開
[戸津弘貴ITmedia]

音楽業界の課題と展望

――エレキギターの老舗として、音楽市場、楽器市場をリードしてきたフェンダーですが、フェンダー自体がそうであったように、音楽業界、楽器業界も波が激しかったと思います。音楽業界の動向を過去から振り返り、現在感じている音楽市場の課題、また、今後の展望についてお聞かせください。

 その中で、フェンダーとして、全世界に比してアジア、特に日本市場の重要度やその理由、ブーストさせてゆくためのマーケティング戦略などがありますか?

ムーニー氏 エレキギター、アコースティックギター、ウクレレは過去10年間、市場規模が成長しています。それを後押ししている要素は2点で、1つは音楽のストリーミングサービスが伸びている点です。18年にストリーミングサービスを使用したユーザーは、2億5500万人で、ゴールドマンサックスの予測では3年でその数は7億人まで伸びるといわれています。30年には10億人を超えるともいわれています。

 もう1つは、ライブに行く人の増加です。特にフェス系はギター・ベースが主体の音楽であることが多いですね。世界最大級のコンサートプロモーターLive Nation によると18年は9300万人がLive Nation主催のコンサートへ行きました。17年の8600万人から8%アップしてますね。

 弊社でも、商品開発のペースを上げており、製品リニューアルのサイクルは7年から4年になりました。これによりニーズや時代に合った多くの新製品が生まれます。マーケティング予算も、従来の利益の4%から10%に引き上げました。その多くはソーシャルメディアを使用したコンシューマー・マーケティングに費やしています。

――投資を増やしたということですが、グローバルでの話でしょうか? それともアジア市場、もしくは日本に特化した投資はしていますか?

ムーニー氏 我々は、基本的に地域の売り上げに応じたリソース配分をしています。過去4年でグローバルの売り上げは毎年1桁後半〜2桁台(前半)で伸びています。しかし、アジアパシフィック地域全体の売り上げは、グローバルの成長を上回っています。なので、投資も大きいですし、ビジネスモデルにも手を入れました。

 5年前までは販売代理店を通じて販売していましたが、現地法人を設立し流通からマーケティング、サポートまでを自前で行うべく組織づくりをしてきました。国内は15年より日本支社であるフェンダーミュージックによる運営体制となりました。最初2人でスタートしたフェンダーミュージック日本支社も今では100名弱までに成長しました。

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