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» 2020年02月05日 05時00分 公開

橋下徹“異端”の仕事術【1】:若かりし“橋下徹弁護士”が「報酬の30%」を事務所に入れていた理由――全ての仕事は「表裏一体性」で考えよ (1/4)

この連載では大阪府庁、大阪市庁という巨大組織を率いたリーダー、橋下徹の仕事術をお届けする。組織を変革し、停滞の一途をたどっていた大阪を、圧倒的な実行力で立て直してきた橋下の働き方についての考え方に迫る。第1回目は、駆け出しの弁護士時代に、個人で受けた仕事の報酬の30%を事務所に納めていた理由や、そのときに大切にしていた考え方に迫る。

[橋下徹,ITmedia]

 元大阪府知事・元大阪市長、橋下徹――。彼の名前を聞くと、「政治の世界で仕事をしてきた人間」という印象が強いかもしれない。だが、もともと橋下は有能な弁護士だった。橋下自身も、政治家として力を発揮してきた土台には「民間の世界で身につけてきた仕事の基本がある」と語っている。

 弁護士であるにもかかわらずスーツを着ず、茶髪、Gパン、革ジャンといった個性的な出でたちでマスメディアに出演し、その後は政治家として巨大な役所組織を率いるリーダーとなった。政治家として時には周囲と激しく衝突し、「異端視」されながらも行政改革に奮闘したことは誰もが認めるところだろう。

 行政改革とは、言い換えれば「組織改革」だ。大阪府庁、大阪市庁という組織を変革し、それまで停滞の一途をたどっていた大阪を、圧倒的な実行力で立て直してきた。「適正な組織づくり」という点においては、公的組織と民間組織の間で大きな違いはない。どちらも、組織の意欲や機能性を高め、その組織の使命を実行し、世の中の役に立てていく。つまり、「定めた目標・戦略を実行するために適正な組織をつくる」点では変わらない。

 この連載では新著『異端のすすめ 強みを武器にする生き方』(SB新書)の中から、巨大組織を率いたリーダー、橋下徹の仕事や働き方についての考え方をお届けしていく。第1回目は、駆け出しの弁護士時代に、個人で受けた仕事の報酬の30%を事務所に納めていた理由や、そのときに大切にしていた考え方に迫る。橋下が社会人になったばかりのころのエピソードはこれまであまり語られてこなかった。その意味では貴重な記事と言えるだろう。

 橋下は、常にチャレンジすることで「限界を突破する生き方」を選んできた。弁護士としての民間の経験と、知事・市長という公的な組織の首長の経験、その両方を持つ橋下の仕事術をお届けする。(敬称略)

phot 橋下徹(はしもと・とおる)1969年東京都生まれ。大阪府立北野高等学校、早稲田大学政治経済学部卒業。98年、橋下綜合法律事務所を開設。2003年「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演開始。08年、38歳で大阪府知事、11年に大阪市長に就任。実現不可能と言われた大阪都構想住民投票の実施や、行政組織・財政改革などを行う。15年、大阪市長を任期満了で退任。現在はTV番組出演や講演、執筆活動など、多方面で活動している

個人の仕事を受ける「2つの意味」

 僕は25歳で司法試験に受かって2年間の司法修習を受けた後、大阪のとある法律事務所に就職し、それから約1年で独立して自分の事務所を立ち上げました。その頃の弁護士は、独立まで10年〜15年というのが一般的だったので、当時としてはかなり早いほうだったと思います。

 独立するまでは事務所に居候する弁護士、通称「イソ弁」として経験を積んでいきました。当時のイソ弁は、事務所に属していても、いわば個人事業主が事務所に間借りをしているようなもので、芸能の世界とは違って、事務所を通さず個人で仕事を引き受けても問題はありません。

 つまり、事務所から給料をもらって事務所の仕事をすると同時に、独立するまでの間、資料のファイリングなどのお手伝いをしてくれる事務所職員をはじめ、コピーやFAX、会議室といった設備、事務用品、光熱費に至るまで、事務所のリソースを使わせてもらいながら、自分が取ってきた仕事をすることができたのです。

 イソ弁にとって、事務所の仕事以外の個人の仕事を受けることには主に二つ、大きな意味がありました。1つは、個人の仕事を受ければ受けるほど自分自身の顧客が増えることになるため、独立の足掛かりになること。もう1つは、所属する事務所の固定給とは別に弁護士報酬を受け取れることです。事務所の固定給は金額が決まっていますから、独立資金を作るという点でも個人の仕事を受けることは重要でした。だからイソ弁のみんなは懸命に自分の仕事を取ってきて、それをこなします。

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