5月に期限が迫る銀行API 現状と課題をマネーツリーに聞く(2/4 ページ)

» 2020年02月25日 07時33分 公開
[斎藤健二ITmedia]

――金融機関、アカウントアグリゲーション各社の対応状況は?

マグダット氏 技術的には、銀行のホスト系サーバの隣くらいに、APIサーバを建て、そことアグリゲーションサービス各社のサーバがやり取りすることになります。メガバンク系であれば、別のサーバを建てて、新しいインフラを構築して堂々とやっていくパターンもあります。地方銀行では、共同センターなどを使っているケースが多いので、既存のベンダーがAPIサーバの基盤を用意する形です。

 インフラ構築においては、メガバンク系は以前からこうした動きがあるのを知っていたので、技術的にはなんの問題もありません。部分的に、5月末までに開発がギリギリというところもありますが一部です。

 一部の銀行は、統合などでシステム開発が凍結されているところもありますが、そこはスクレイピング契約の前提で6月を迎えることになります。

――マネーツリーのAPI接続状況は?

マグダット氏 信用金庫などを除いて、現在34行です。銀行API対応を必要とする行数は134行になります。

――技術的に準備が整っている銀行はどのくらいなのでしょう

マグダット氏 感覚的には8割以上です。信用金庫、信用組合はすべて共同システムでやっているので、マネーツリーも19年の7月ころから全国の信用金庫にAPIで対応しています。全国を統括してくれる組織があるので逆に動きが早くなっています。

 課題は、技術というよりもビジネスと考え方にあります。あるITベンダーの検証環境を使うにあたって、数週間くらい前に申し込んで、1日当たりかなりのコストを銀行が出さなければならないようです。複数のアカウントアグリゲーション業者がテストをするので、「全社この日にテストできませんか?」という話になります。こうしたスケジュール調整コストが高いんです。当社でも、技術面ではなく、スケジュール調整専任の人を置いているくらいです。

 考え方も課題です。銀行が用意した検証環境には面白いデータが入っていません。検証、本番という考え方は、専用線の時代には納得する話なのですが、今はインターネットの時代です。

 マネーツリーは、本番環境同士で、限定されたユーザーについてAPI開放するという技術を持っています。われわれの案としては、高価な検証環境を使うのではなく、実際のデータでテストしてみるというものです。参照系APIを使うので、万が一なにかあっても関係者内で対応できます。

 しかし銀行は保守的なので、本番同士でテストを行いましょうというと、なかなか受け入れられません。検証環境でテストせずに、どうやって本番に移行するの? という話になることもあります。われわれの考え方では、本番移行とはエンドユーザーが利用するとき。環境同士は、事前につなげてもいいですよね、という考え方です。

 これに乗ってくれている銀行も数行あって、各行の考え方は違います。

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