金融機関のデジタル活用〜デジタル活用のヒントを探る〜
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» 2020年02月25日 07時33分 公開

5月に期限が迫る銀行API 現状と課題をマネーツリーに聞く(3/4 ページ)

[斎藤健二,ITmedia]

――技術面以外の課題はどこにあるのでしょうか。

マグダット氏 技術的に検証が終わっても、契約があります。その交渉の中で、APIの料金の話に時間がかかり、5月末に間に合わないというところもあります。先に技術検証を済ませて、価格体系が決まったらサービスインしましょうという話をしているところも多数あります。

 完全にAPIを商売にしようとしている銀行もあります。銀行にとって、クラウドサービスは本業ではないので、価格もマーケットがどこまで耐えられるかを考慮しないで提示される場合があります。

 アクアラインの建設にかかった費用を、3年間で回収しようとしているような感じですね。通行料が2万円だったら誰も使わなくて、そもそもビジネスとして成り立ちません。現在の参照APIは、既存業務を続けるための話で、これからオープンAPIに向けて、自行でもAPI活用したビジネスをして回収していくという発想がありません。 

――料金体系は銀行によって違うのでしょうか?

マグダット氏 半分以上の銀行が、完全に無償、または無償に近い料金体系です。例えば、アグリゲーションアプリがあれば通帳代わりになります。そうなると、これからの口座は通帳レスが実現でき、銀行もコストを削減できます。しかもデータを維持するのはアグリゲーション事業者のコストになります。APIを出しただけで、銀行のコストを下げられるという考え方もあるわけです。

 ほかの国、欧州や豪州であれば、法的に無償でなければいけないとなっています。もともとユーザーのデータなので、アグリゲーション業者はユーザーの代行をするという考え方です。自分でインターネットバンキングにログインすれば無償なのに、アグリゲーション業者を通じてログインするとなぜお金がかかるのか? という考え方ですね。

 日本の場合は法に「無償でなければならない」とは書いていないので、対応がバラバラです。ただしシステムコストがあることは認識しているので、当社がAWSにお金を払うように、支払うのは承知しています。どこまでというのが論点です。

 コスト構造はこちらも分かっていて、単なるビジネス交渉なのですが、銀行によっては「コストはこれです。申し込みますか、申し込みませんか」とそれだけだったりします。当社も百数十行と個別に交渉する余裕はないので、どうしてもユーザー数の多いところが優先になります。

 6月1日からデータが取得できなくなります、とアナウンスせざるを得ない事例は少なくとも一行以上出ると思います。

 誰も望んでいない実験になってしまうのですが、データが取得できなくなってしまったときに、ユーザーが銀行に対してクレームを言うか、マネーツリーのアプリに星1つをつけてコメントを書くか。銀行が、FinTech業者と共存しなくてはいけないと認識するタイミングになるのではないでしょうか。ただしそれは6月以降で、ユーザーに迷惑をかけてしまうことになるのが不安です。

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