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横行する「ブラッククビ」、急増する「非正規コスト」 4月に勃発する“雇用大変革”に対応できない企業は淘汰される守れない経営者は「前科」に(4/5 ページ)

» 2020年03月03日 05時15分 公開
[成相裕幸ITmedia]
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「有給取得すばらしい」は将来の可能性つぶす

――働き方改革関連法で有給休暇5日取得も義務化されました。実効性はあるのでしょうか。

  まずコンプライアンスとして守らねばいけません。一斉に取得するのか、個別に自発的に取らせるのか。さまざまなやり方があります。ただし、本人任せにすると危うい。年度の最後の1カ月でとらせるのは通常業務との兼ね合いでなかなか難しいでしょう。管理職が事前に把握して1カ月に1回は消化させる「時季指定」を使い、確実に取得させることが大切です。

 なんとなく日本は有給休暇がとりにくいイメージが先行していますが、祝日は世界的に見て実はかなり多い。年間休日数でいえば上位です。確かに有給休暇取得率は50%ほどです。もし有給をどんどんとったら世界有数の「休む国」になる。

 ただ本質的なこととして、有給をとらせることだけが目的になってはいけないとも思います。「有給休暇をとることはすばらしい」と思っている人の中には、仕事を「やらされている」感覚で捉える場合があり、そうなるとしっかりとしたスキルが身につかないケースもあると思います。逆に将来の可能性を自ら殺していないでしょうか。仕事とは「つらい」「苦しい」だけのものではないはずです。

 もちろん「やりがい搾取」ではダメですが、仕事の喜びを全く無視した風潮も極めて危険です。残業時間の上限規制とも関係しますが、特に若い会社員がある程度の負荷のある業務をこなすことによって、成長やスキルアップにつながる機会を得ることもあります。ですが、そういった機会を会社が強制的に付与することは難しくなります。

 自分でさらに仕事をしたい人は他人から言われなくても進んで、社外活動も含めて自律的に経験を積んでいくでしょう。休むことを第一に考える人との差は、残酷なほどついてしまう。私は若い世代での二極化を懸念しています。これからのスキルアップは「会社の言うことを待っている」だけではダメで、ある意味では大変な時代なのです。

phot 「年次有給休暇の強制付与」の概要(厚生労働省のWebサイトより)

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