コロナ内定切りに遭った学生と、内定切りをした企業はどうなるのか?(2/3 ページ)

» 2020年03月18日 12時53分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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(2)内定切りにあった学生は

 まず第一にすることは自分の大学のキャリアセンターへの相談です。キャリアセンターが頼りにならないと勘違いしている学生は少なくないのですが、多くの大学ではキャリアセンターに採用情報は集まります。またほとんどのキャリアセンターでは、大学教員や事務職員だけでなく、民間企業出身の専任教職員が所属しています。内定取り消し通知を受けたショックで身動きできなくなってしまう人もいるかも知れませんが、今動かなければ致命的な結果しか残りません。とにかく一番頼りになるのはキャリアセンターなので、まずは相談に行きましょう。

 企業は神様でも裁判所でもありませんので、一方的にあなたの内定を取り消すことはできません。法律で内定者の権利は明確に保護されているのです。「景気が悪いのでやっぱり採用はやめる」というのは内定取り消し理由にはならないのです。

 しかし学生個人が企業と渡り合うのはあまりに無理があります。ここはそうした法的な知識もあり、採用問題の専門家であるキャリアセンターの出番なのです。場合によっては大学がサポートしてくれる可能性もあります。とにかく1人で戦うことだけはやめましょう。親であっても、人事問題に通じていなければほぼ無力です。

(3)内定を取り消した企業

 遅い対応のせいなのか、PCR検査が足りないせいなのか、それでも日本はましなのかわかりませんが、接客業や販売業は大ダメージを受けています。とても新卒など採れる環境ではないのかも知れません。しかしそれでも新卒採用の内定取り消しは最後の最後まで待って下さい。

 誰も予期しなかったコロナ渦ですが、一度でも内定切りをすれば永久に新卒を採れなくなる覚悟はできるでしょうか。内定切りをした記録は永久に残り、「内定切りをした会社」という烙印がつきます。そしてこの先ずっとインターネットの海の中にその記録は残り続けます。

 そうはいってももはや新卒採用余力も尽きてしまったという会社。内定取り消しは「解雇の4要件」と同じと理解して下さい。日本では正社員を解雇できない高いハードルがあります。しかし「(整理)解雇4要件」を満たすことで、人員削減は不可能ではありません。つまり内定切りをするということはその要件に相当する「経営危機」であることを公にすることを意味します。

 経営悪化程度ではなく、倒産がカウントダウンに入るほどの経営状態であることが、数少ない内定切りを選択肢にできる状況です。政府は雇用調整助成金の特例追加を発表しました。とにかく使えるものは何でも動員して、最悪の事態を避ける努力をしていただきたいと思います。

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