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ラグビー前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が語る「リーダーの在り方」常勝チームの根底にあるもの(2/3 ページ)

» 2020年03月18日 05時15分 公開
[武田信晃ITmedia]

多様性を生かすために大切なこと

――日本代表は多様性が強みだと言われましたが、実社会やビジネスの場でも多様性の必要性が叫ばれています。多様性を生かすためには何が大事だと考えていますか?

 その人の個性を生かすことでしょうね。「目的」「大義」「ミッション」――。これを明確にすることも大事です。

――廣瀬さんは起業もしていますが、経営という側面を考えても、やはり「大義」を考えることは大事だと思いますか?

 そう思います。

――廣瀬さんが日本代表のキャプテンを下ろされたときに、腐らずに後ろからチームを支えたことは有名なエピソードですね。そのような姿勢も、自身が考える大義があったから可能だったのでしょうか?

 その通りです。また、チームの中でいい人間関係を築けていたからだと思います。

photo 廣瀬さんが社長を務める株式会社HiRAKU

――人間関係で言えば、生理的にダメなメンバーがいたり、折り合いがうまくつかない場合もあったりすると思います。

 日本代表においては「生理的にダメ」というメンバーはいませんでした。合宿の期間が長かったという理由だけで仲良くなった訳でもないですね。恐らくエディーさん(エディー・ジョーンズ前日本代表監督)が、それだけメンバーのセレクションをしたということだと思います。

 確かに実社会では生理的に合わない人と仕事をする機会もあるでしょう。しかし、「仲良し集団」になるのではなく、互いに尊敬し合い「同志」のような関係を築くことが重要だと思います。生理的に合う、合わないではなく、きちんと仕事ができるかどうかです。

――自分のキャラクターや役割を考えるための「自己分析をする時間」というのもあったのでしょうか?

 現役選手のときはそういった時間もありましたね。コーチからレビューを受けますし、仲間からもフィードバックがあったりしました。フィードバックは耳の痛い話もありますが、そういう話こそ貴重なのです。現実を直視するためにもフィードバックは必要です。

――確かにそうです。一方で、リーダーであればメンバーに対して逆にフィードバックしてあげることも必要ですよね。

 はい。ただ、これは非常に繊細な作業です。本人が気付くということが大事なので、リーダーは気付きのきっかけ作りをする――。そういう姿勢が求められるのではないでしょうか。

――部下にフィードバックをするとき、「説教をされた」であるとか「パワハラをされた」といわれるケースもビジネスの現場では増えていますね。悩める管理職も多いという状況もあります。

 パワハラというのはそもそも(上司と部下の)信頼関係が築けていない場合に発生するものだと考えています。部下から「パワハラ」だと思われてしまうのであれば、それまでに良い人間関係が築けていないから起こるのではないでしょうか。相手の受け取り方なので、「何を言ったか」ということもありますが、関係性の問題に起因することもあるのではないかと思います。

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