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ラグビー前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が語る「リーダーの在り方」常勝チームの根底にあるもの(1/3 ページ)

» 2020年03月18日 05時15分 公開
[武田信晃ITmedia]

 2019年、ラグビーワールドカップ(RWC)によってラグビーは社会現象となるほど盛り上がりを見せた。ラグビー日本代表の元キャプテン、廣瀬俊朗さんは試合の解説以外にも、自身の会社を経営するなど起業家としても活躍している。

 廣瀬さんは、「ビジネス・ブレークスルー大学」(BBT)の大学院で経営を学び経営管理修士(MBA)を取得したことは「ラグビー選手から起業家へ 前日本代表キャプテン・廣瀬俊朗が示す「セカンドキャリア」の作り方」でお伝えした。今回は「リーダー論」を中心にビジネスにも応用できるチーム作りの考え方を聞いた。

photo 廣瀬俊朗(ひろせ・としあき)元ラグビー日本代表キャプテン。株式会社HiRAKU代表取締役、ラグビーワールドカップ2019公式アンバサダー。1981年、大阪府生まれ。大阪府立北野高校卒業後、慶應義塾大学理工学部に入学。高校日本代表、U19日本代表を歴任。その後、東芝ブレイブルーパスに入団。2007年に日本代表選手に選出され、12年から13年までキャプテンを務める。ポジションはスタンドオフ、ウイング。16年より大前研一氏が学長を務める通学不要・100%オンラインで経営管理修士(MBA)を取得できる日本初の経営大学院として04年11月に文部科学省より専門職大学院の設置認可を受けた「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」で経営を学び、経営管理修士(MBA)を取得。その後「ビジネス・ブレークスルー アスリートアンバサダー」に就任。近著に『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)など(撮影:山本宏樹)

「ONE TEAM」の裏側に「準備」あり

――2019年、日本代表がRWCで躍進できた理由に「ONE TEAM」という言葉や考え方が挙げられています。廣瀬さんは躍進の要因をどう考えていますか?

 やはり準備が良かったんだと思いますね。

――廣瀬さんは自身の解説の中でも「事前の準備」という言葉を良く使われていました。事前の準備とは、もう少し具体的にいうと、どういったものなのでしょうか?

 大きく「グラウンド内での準備」と「グラウンド外での準備」の2つに分けられると思います。まずグラウンド外では、「どんなチームを作りたいのか?」を考える必要がありますね。多国籍なメンバーが集まっているので、そこをいかにしてミックスさせていくのか。それを考えます。

 グラウンド内では、具体的に「どういうラグビーをしたいのか?」を考えます。そして、そのラグビーを実現するためには、どんな練習をするのかを考えていかなければなりません。今回の日本代表は、ボールをどんどん動かすラグビーをするという戦術を立て、そこにはスキルやフィットネス、チームとしての結束力という日本代表が持つ強みを生かしたラグビーをすることになった。これまでで一番厳しい練習をしたそうです。

――チーム作りという観点で言うと、リーチ・マイケル選手など、何かこの選手のここが良かったというのがありますか?

 リーチ・マイケルで言えば19年はケガをしたりして大変でしたが、その中でも(国歌に出てくる)さざれ石を実際に見に行ったり、日本のルーツを探る行動をしていたのは良かったと思います。流大もラグビークリニックで率先して子どもと接する機会を作っていたという話も聞きました。結果を出すことは大事ではありますが、そういったラグビー選手としての存在意義を見いだして次世代へとつなげていくという意識、良い雰囲気を醸成したのではないでしょうか。

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――スポーツでは常勝チームは「勝ちぐせ」などの言葉が使われます。こういった良い雰囲気を醸成できるチームには、どういった特徴があるのでしょうか?

 大切なのは、勝ち負けだけにフォーカスしないことだと思います。勝ち負けはコントロールできませんから。自分たちはどうあるべきか、何のために勝つのか……その根本を徹底的に考えることが大事です。自分たちのラグビーにフォーカスをする。それが結果につながると考えています。

――廣瀬さんがリーダーとして大事にしてきたこと、培ってきたものとはどんなものなのでしょうか?

 「どんなチームになりたいのか?」「どんな人になりたいのか?」というビジョンをしっかりと持つことです。そして、それに対して自信を持てるか。あとはチームのリーダーとして「周囲の人を信じられるか」というのも大事ですね。

――監督とキャプテンの間で意見の違いが出てくる場合もあると思います。どのように整合性をつけていくのでしょうか?

 監督には「こういうチームを作りたい」というビジョンがあるかと思います。だから一義的には監督が決めるべきでしょう。ただ、選手として自分の意見を持っておくことも重要です。全て監督の指示通りに動く必要はなく、ディスカッションをしたりして最終的に折り合いをつけていく。意見をぶつけ合いながらチームとしての方向性を決めていくという感じだと考えています。

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